T・A(中学1年生)
2月末に突然休校になったまま小学校生活が終わってしまい、沈んでいた私を救ってくれたのはオンライン授業でした。3月に入るとすぐプログラミングの習い事がZoom形式に変更され、事前の接続テストでチャットや画面共有、課題提出の仕方を教わりました。実際に授業が始まると、日本全国の同レベルの生徒たちが一緒に授業を受けていました。関西弁の生徒と一緒に授業を受けるなど、想像したことがありませんでしたが、とても刺激的で心地いいものでした。
小学校からは英語とフランス語の動画配信がありました。6年生だけでなく各学年に配信があったのですが、卒業する私たちのことを一生懸命に考えてくださっている先生方の姿が画面の中にありました。先生方の気持ちがうれしくて、先生方に会いたくて、何度も繰り返して動画を見ました。4月になると中学校から教科書とプリント類が郵送され、それから5月まで動画授業と課題が週2~3回のペースで配信されました。
ピアノの習い事もオンライン形式になり、2か月ぶりに再開されました。ZoomやFaceTimeでレッスンをすると、よく音がプツプツ切れるように聞こえたり、画面が固まったりすることもあります。私と先生の間にはわずかな時差が生じて拍がずれてしまうのにも困りました。また定点カメラの映像を送るので、先生がご覧になる画面では奥になる私の左手の細かい指の動きが分かりにくく、腕を取って指導できないことにもどかしさを感じるとおっしゃっていました。問題点はありましたが、レッスンができるだけでも満足でした。
中学校は2か月間休校で、5月末に、Zoomでクラス初めてのホームルームをしました。初対面のクラスメイトの顔々が画面いっぱいに映った時は、緊張と興奮の瞬間でした。ですが、どういうわけか、何度も使って慣れているはずのソフトがトラブルを起こして、先生とみんなの声が私にはまったく聞こえませんでした。聞こえないことをチャットで先生に連絡し、すぐに分かっていただけてフォローしていただきましたが、焦りと不安が極度に達し、取り残された気分で落胆しました。
2回目以降のホームルームは問題なく、主の祈りをみんなで唱えました。3回目のホームルームでは、休校中にしていたことを全員がクラスメイトの前で発表しました。私が疫病退散の願いを込めて描いたアマビエの墨絵をカメラに向けると、みんなから「オー」と言ってもらえてうれしかったです。クラスメイト一人一人の声を初めて聞いて、学校生活への気持ちが高まりました。
6月は、①分散登校でクラスを半分に分けての対面授業、②Zoom授業、③動画授業と課題の配信がありました。オンライン授業の良いところは、無駄なおしゃべりがなく、授業が順調に進む点です。「いいね」「拍手」「挙手」などを使うことで一体感も味わえます。そして、全体の進行とは別に、ブレイクアウトルームで質問することもできます(先生が複数の場合は使いやすいです)。人と会わないほうがいいと思われている状況下では、どんなに遠い場所からでも同時につながることのできるオンライン授業はとてもいいと思います。
一方オンライン授業の困るところは、分からないことをその場で自分からは質問しにくいことです。発言者が誰に対して発言しているのかが分かりにくいこともあります。また、私も経験しましたが、ソフトがトラブルを起こすと、その授業に参加できなくなる恐れがあります。そういう可能性があるため、授業が始まる前にどうしても、出欠確認や、マイクとスピーカーの確認(聞こえてますか)に時間がかかります。先生方は次々に別の授業があり、オンライン授業には休み時間がなかったので、友達同士で話すことはまったくありませんでした。クラスメイトと仲良くなるのはこれからです。
3月から6月までの4か月を振り返ると、私は部屋に閉じこもっていましたが、オンライン授業が外の世界とつないでくれました。自分だけの世界では、緊張も失敗もしない代わりに喜びもなかったことを思うと、オンライン授業に救われたと思います。