ふたりの女王 メアリーとエリザベス


イギリス女王というと、今年1月に『ヴィクトリア女王 最期の秘密』をご紹介しましたが、16世紀に遡るとスコットランドとイギリスを舞台にメアリー・スチュアートとエリザベス1世が王位を争ったということをご存じでしょうか。そのメアリー・スチュアートとエリザベス1世が王位を争ったという事実をもとに2人の女王にスポットを当てた映画が公開されます。その映画が『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』です。

スコットランドでカトリックとして生まれたメアリー・スチュアート(シアーシャ・ローナン)は、身の安全のため、幼少期からアンリー2世によってフランスへ渡り、フランス王宮で生活していました。15歳でフランス王太子フランソワ2世と結婚し、16歳で王妃になり、18歳で未亡人になって、母国スコットランドに戻ってきたところから始まります。
当時のスコットランドは、プロテスタント教徒たちが勢力を拡大し、異母兄のマリ伯(ジェームズ・マッカードル)が摂政としてメアリーの代わりに国を統治していました。そこには政治顧問として長老派の指導者ジョン・ノックス(デヴィット・テナント)がプロテスタント教徒たちを指導していました。ジョン・ノックスはカトリック教徒であるメアリーが王位に就くことは、神の意志に反していると主張していました。

一方、イングランドでは、エリザベス1世(マーゴット・ロビー)が25歳で女王として即位します。彼女を支える枢密院の人々は、メアリーが戻ったことで緊迫します。そこで、エリザベスに早く結婚し、世継ぎを生むようにプレッシャーをかけます。

メアリー・スチュアートとエリザベス1世は、生まれたときから王位継承権を争うライバルだったのです。それ故にお互いを意識し合うと同時に魅せられていました。女性が国を治めるとはどういうことなのかは、この2人にしか理解できないことでした。

細かいストーリーは紙面の関係で省きますが、メアリーが治めているスコットランド内でのプロテスタント教徒の内乱、夫となったヘンリー・スチュアートの裏切り、イングランドとの微妙な関係などなど、その波乱に満ちた生涯が描かれています。

この映画の中で、なぜエリザベスが結婚することを拒み、メアリーに勧めるのか、男社会の中で、女王にしか分からない苦しみを抱えた2人がなぜ対立しなければならないのか、カトリックとプロテスタントがなぜ同じ神を信じる宗教でありながら、ここまでいがみ合わなければならないのか、王位とは何かを如実に表しています。

ぜひ、映画館でご覧ください。さまざまなことが示唆されているこの映画は、アカデミー賞にノミネートされた衣装とメイクだけではない魅力にあふれています。

(中村恵里香・ライター)

3月15日(金)より TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー!

出演:シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー、ジャック・ロウデン ジョー・アルウィン、ジェンマ・チャン、マーティン・コムストン、イスマエル・クルス・コルドバ、ブレンダン・コイル、イアン・ハート、エイドリアン・レスター、ジェームズ・マッカードル、デヴィッド・テナント、ガイ・ピアース
監督:ジョージー・ルーク/脚本:ボー・ウィリモン/音楽:マックス・リヒター/美術:ジェームズ・メリフィールド/衣裳:アレクサンドラ・バーン/ヘア&メイク:ジェニー・シャーコア

原題・英題 :Mary Queen of Scots
2018年/イギリス/124分/ユニバーサル作品/配給:ビターズ・エンド、パルコ
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公式ホームページ:http://www.2queens.jp
Twitter:https://twitter.com/2QUEENSjp
Facebook:https://www.facebook.com/2QUEENSjp/


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