「家族のはなし」


鉄拳という人をご存じでしょうか。お笑い芸人のようですが、数年前にパラパラ漫画をネット上で公開して、「泣ける」とか「感動をした」とさまざまな人の間に話題になった人です。その鉄拳氏の作品で、信濃毎日新聞に連載され、その後ネット上でパラパラ漫画として公開され、話題になり、実写映画として公開されている映画「家族のはなし」を今回ご紹介します。

長野の片田舎に住み、リンゴ農園を営む母(財前直見)から父(時任三郎)が入院したとの連絡を受け、数年ぶりに家に帰る小林拓也(岡田将生)は家に向かうバスの中で、音楽を聴きながら、何かを一所懸命書いています。バス停で降りると、農協に勤める幼馴染みの明日香(成海璃子)が車で迎えにきます。

入院中といわれていた父はすでに退院し、リンゴの手入れに出ています。幼少期は、スポーツで、神童といわれ、陸上選手を目指すも、ケガで挫折。無為に過ごし、高校卒業後の進路を家からはなれたいばかりに、親から農業を継ぐ振りをして、農業大学を目指すと東京の大学に進学。大学生活の傍らバンド活動に熱を入れ、メジャーデビュー。親に無断で大学を中退し、それを告げることができません。新曲の締め切りが迫り、自分の部屋にこもっている拓也ですが、自分の生きる道が定まらないことにいらだち、田舎でリンゴを愛し育てることにすべてを注ぐ父を疎ましく感じてしまいます。「何もない田舎で同じことを繰り返しているつまらない人間だ!」と八つ当たりする息子に何も言わず、笑顔で受け止める父親に対し、ますますいらだちを募らせます。

新曲が締め切りに間に合わず、契約打ち切りになると告げられ、急遽東京に戻りますが、バンドの解散となり、失意のうちに、高校の先生に頼まれた創立記念日が来てしまいます。バンドは解散していますので、1人高校に行き、事実を打ち明けようとする拓也の姿がありました。このあとは皆さんが劇場でご覧ください。高校の創立式典で演奏ができるのか。その結果は。拓也は父に真実を語れるのか、父の対応は、その後の2人の関係は。そこには、親子の関係だけでなく、愛に満ちあふれた物語があります。

昔から「親の心子知らず」と言いますが、愛を育てて育んでくれた親に対して子は、いつしか疎ましく思ったり、反発してしまうことがありますが、親の愛というものは、言葉にはできないほど深いものがあるのだということを教えてくれます。この映画、最後は涙なしには見られない作品です。ぜひハンカチ持参で映画館で観てください。

(中村恵里香、ライター)

 

11月23日(金)イオンシネマにてロードショー

監督:山本剛義
出演:岡田将生、成海璃子、金子大地、佐藤寛太、水田信二、渡辺憲吉/財前直美、時任三郎
日本/2018年/80分
制作:よしもとクリエイティブエージェンシー MBS 制作プロダクション:ドリマックス・テレビジョン 配給:KATSU-do
製作:吉本興業 MBS VAPユニバーサル・ミュージック

公式ホームページ:http://kazokunohanashi.official-movie.com/


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