神さまの絵の具箱 11


末森英機(ミュージシャン)

神のくびきの亡命!! 果たせるかな。このせまい両肺のなかまで、あなたを囲い込み、この血のなかに、転がり込む、証しのみ言葉をいつかしら歌うために。血筋のその汚れ。口ずさむための、言葉に変えて、とうに迷ってしまった道へと立ち返るための、道しるべにすることができるのかしら? 鏡は貧しく朽ちかけた鐘楼で、ずっとずっと鳴りつづけている。あのときの、鈴やシンバルやドラムのようにも、静かな叫びのようにも。さあ、光を運ぶ者の光とは、いったい? 光に見える闇の確かさ。愛のために、受けさせたまえ。息をする場所は神殿。息をつぐ場所は麦打ち場。避け所。神はひどいしうちに、はかりしれない傷をお受けになったことを忘れようとするひとびと。

「主よ! お救けください! わたしは、ほろびます」と叫ばずにいるひとびと。幸いなるかな! 塩にも劣る者たちよ! 信仰という油で、手を浄められぬ者たちよ! 「おまえたちが、手を広げて祈っても、わたしは目を覆う。どれほどの祈りを繰り返しても決して聞かない」(イザヤ1:15)。『まあだだよ』という神の声がこだまする。


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