「映画作家 黒木和雄 非戦と自由への想い」


黒木和雄という映画監督をご存じでしょうか。10年前の2006年、4月に75歳で亡くなられた方です。私も全作品を見たわけではありませんが、歴史好きには、原田芳雄演じる坂本龍馬が話題となった「龍馬暗殺」で名を知られている監督です。それ以外にも、約16本の映画を作られています。けっしてメジャーで、華やかな映画を作った監督ではありませんが、その制作姿勢には一本の筋が通っていた監督でもあります。
その黒木和雄監督、没後10年ということで、黒木和雄監督作品の助監督をしていた後藤幸一氏がドキュメンタリー映画「映画作家 黒木和雄 非戦と自由への想い」という映画を作られました。
この映画の特徴は、なんといっても「自由」と「非戦」です。黒木監督の生前のインタビューとともに周辺の黒木氏と親交のあった人たちのインタビュー集としてまとめられています。
黒木和雄という監督が何を思い、何を見つめ、映画作品を作っていったのかが、如実に出ている映画でもあります。
戦争を体験している世代が数少なくなっている現代で、世の中がどんどんきな臭くなる中、宮崎県えびの市の中学で同級だった友人のお二人は、どんどん昔のあの時代に似通ってきているといい、広島で被爆したお二人の女性は、実際に体験

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監督:後藤幸一/製作:鈴木ワタル/プロデューサー:岩村修/配給:パル企画/上映時間:91分 2016年11月19日よりユーロスペースほかで上映

した人と話だけで体験した人には非常に大きな温度差があると語りかけています。
でも、本当のそうでしょうか。私たち戦争を知らない世代だからこそ、戦争を体験した人たちの声を聞き、戦争体験はどんなものだったのかを聞いていかなければその声は、体験者が亡くなってしまえば終わりということにならないでしょうか。この映画を見ていてそんなふうに考えました。
そんな中で、作家澤地久枝氏は、同じ年生まれで、同じ時期に満州に渡り、同じ時代をみてきた一人として、黒木和男氏の映画作品を読み解きます。その読み解く声には、反戦の思いが語られていました。
今、戦時下に近い時代になっていると多くの人が訴えかけている状況の中、本当の自由とは何かを真剣に考えさせられる映画です。


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