TOVE/トーベ


トーベ・ヤンソンという画家の名前を聞いたことがありますか? この名前を聞いてすぐにわかった人は、なかなかの児童書好きということになります。でも、「ムーミン」の作者といえば、ほとんどの方がわかるのではないでしょうか。世界中の人に愛されている「ムーミン」の作者、トーベ・ヤンソンの人生を描いた映画がまもなく公開されます。

フィンランドのヘルシンキでは、第二次世界大戦中、激しい戦火に見舞われていました。彫刻家のヴィクトル・ヤンセン(ロベルト・エンケル)と美術教師のシグネ・ハンマルステン=ヤンセン(カイサ・エルンスト)の間で成長した娘トーベ(アルマ・ボウスティ)は、自分を慰めるように「ムーミントロール」の物語を描き始めます。

戦争が終わると、爆撃によって廃墟と化したアトリエを借り、絵画制作に取り組み始めますが、著名なで、厳格な父との軋轢、保守的な美術界との葛藤の中、満たされない日々を送っていました。そんな中、若い芸術家たちとのパーティに参加した時、政治家アトス・ヴィルタネン(シャンティ・ローニー)と出会い、一目でお互い恋に落ちます。アトスは、政治家として活躍する傍ら、スウェーデン語の新聞「アルベルタプラーデット」の記者でもありました。人目を忍ぶ恋の中、アトスはトーベの書く「ムーミン」の良き相談相手となっていきます。このアトスですが、ムーミンの登場人物、スナフキンのモデルといわれています。

そんな中、また別のパーティで、舞台演出家のヴィヴィカ・バンドラー(クリスタ・コソネン)と出会います。彼女は夫のある身でありながら、トーベと愛し合うようになります。当時のフィンランドは、同性愛は犯罪として露見すれば投獄される危険性もありました。二人は、お互いにしか通じない言葉や暗号を使い、愛を伝え合います。二人の愛情関係は消滅しますが、ヴィヴィカは、トーベのムーミンを見て、この物語を舞台化します。

その後、「イブニングニュース」紙で連載が始まると、国際的に人気になり、多忙を極めていきます。さてこの後は、映画館に足を運んで観てください。トーベ・ヤンソンは、ムーミン作家で終わる人なのか、その後の人生は? トーベ・ヤンソンという人の一端がわかるはずです。そして、ムーミンに出てくる人物のモデルは、トーベの周囲にいる人だったといいます。その人物を探す楽しみもあります。ムーミンの物語誕生の裏側にあるものを探してみてはいかがでしょうか。

中村恵里香(ライター)

 

10月1日(金) 新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか 全国ロードショー

公式サイト:http://klockworx-v.com/tove/

 

スタッフ

監督:ザイダ・バリルート/脚本:エーヴァ・プトロ/音楽:マッティ・バイ/編集:サム・ヘイッキラ

出演

アルマ・ポウスティ、クリスタ・コソネン、シャンティ・ロニー、ヨアンナ・ハールッティ、ロバート・エンケル

2020年/フィンランド・スウェーデン/カラー/ビスタ/5.1ch/103分

スウェーデン語ほか/日本語字幕:伊原奈津子/字幕監修:森下圭子/原題:TOVE/配給:クロックワークス

 

 


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