誠光社からサンパウロへ


聖パウロ修道会 ブラザー井手口 満

皆様の中には、「サンパウロ」という言葉を一度は、耳にした方がおられることでしょう。全国には、東京、大阪、京都、福岡、そして長崎に店舗があり、カトリック書籍、聖品を販売しています。しかし、この「サンパウロ」という名前よりも、「中央出版社」という名前の方が馴染み深い方もおられるのではないでしょうか。

サンパウロは、聖パウロ修道会が修道会の固有の「社会的コミュニケーションのため」による使徒職を行うために設立されました。1934年11月10日に聖パウロ修道会のマルチェリーノ神父とベルテロ神父がイタリアから来日し、王子教会を任されました。そして、1938年に王子教会に隣接する所に出版の使徒職の拠点として「誠光社」を設立しました。

しかし、第二次世界大戦への道をたどり、政府は、1942年5月に施行された企業整備令に基づき、当時のカトリック出版社6社が合併され、1943年11月に「中央出版社」は設立されました。戦後各出版社は、それぞれ独立していき聖パウロ修道会がそのまま「中央出版社」を引き継いだのでした。

現在の四谷見附。中央右の茶色の建物がサンパウロ。

戦後は、焼け野原の中、1947年にバラック建ての四谷若葉町に中央出版社が完成し、1949年8月には、四谷見附に木造2階建ての中央出版社を新築しました。しかし、東京都の道路拡張計画により1971年5月に現在の新宿区四谷1-2に新しく5階建てのビルが完成しました。

さて、その「中央出版社」がなぜ「サンパウロ」に社名を変えたかと言いますと、それまで、全世界の聖パウロ修道会は、それぞれの国でいろいろな名前で使徒職を行っていました。しかし、それでは統一性がないということ、すぐに聖パウロ修道会の使徒職の場ということがわかるようにということで、1995年「サンパウロ」となり、全世界で同じロゴマークを使用することが決まりました。

このように、戦争は、カトリック出版社一つをとっても様々な影響をもたらすということですね。

 


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