『カロル』『聖ヨハネ二十三世』翻訳裏話


枝川葉子・町田雅昭

『カロル』を翻訳するまで

そもそもピタウ先生が語る会で、英語で出来ている『カロル』を観たり、DVDを持っている人がいて、すばらしいと話題になっていました。そのうちに習志野教会の英語ができる信徒のグループ7人で手分けして訳していると知り、それを「ピタウ先生が語る会」で2回に分けて観せていただきました。

これでは、法律的にまずいのではないかと考えました。でも、正当にやるとなると難しいのではないかと考えていたのですが、ピタウ先生が「字幕ができるといいですね」とおっしゃっていました。

『カロル-教皇になった男』

当初は自分たちで版権から翻訳、販売までやるという考えはなく、さまざまなところへ問い合わせて、上映してくれないかとか、DVDの発売をしてくれないかとか、テレビ放映してくれないかと問い合わせしたのですが、興味は示してくれても、引き受けてくれるところはどこもありません。

ですから、これだけ断られた状況で、澤さんという私たちのグループのドンの「俺たちでやるしかないじゃないか」との言葉で、自分達で取り組むことになりました。澤さんが自主的に全体を通してすごくラフな訳をつくってくれました。

たまたま町田さんが字幕の通信教育を受けていたので、テキストを見せていただきました。具体的にタイムコードが出てくるような画面を見たことがありませんから、テキストを見たときには、そんなにむずかしそうには感じませんでした。何秒に何文字と言われても……。見ている人が見ている間には読み取れるような文字数にするとか。具体的にコードが入ったものが届いてからちょっと悪夢のような日々となりました。みんな目を酷使したので、視力が悪くなってしまいましたが、面白さもありました。

澤さんが、ラフな全訳を通しでつくってくださって、それを精査しながら5人で分割して訳しました。それをみんなで持ち寄って、画面を見ながら、ここはこうした方がいいのではないかという作業をしました。それが結構楽しかったんです。その楽しさがあったから完成できたという感じです。真夏にこの作業をしていたので、汗と涙の作業でした。

 

版権取得するまで

『カロル』は、2005年8月、デトロイトにいたときにテレビ放送されました。その放送を録画していたのですが、9月末に日本帰国が迫っていたので、見る時間がなく、ただ録画するだけで帰ってきてしまったのですが、みんなが騒いでいるので、ひょっとしたら私が録画したものかなと思って、見てみると、私が録画してあるものとまるっきり同じでした。アメリカのテレビで放映したものなら、放映したところは分かるわけです。そこであちこちに版権がどこにあるのか問い合わせて探したのですが、なかなか分かりませんでした。版権先が分かるのに、2年近くかかりました。

版権先を調べるのに、私の中学時代の先輩で、上智大学の英語科の1級先輩の荒井さんという人がたまたまパイオニアの映画部門に勤めておられました。パイオニアは当時レーザーディスクをやっていたので、自分のところで調べられるところは調べると言って調べてくれたのですが、Universalではなさそうという返事だったのです。ところが、どう考えてもそこしかないわけです。

そこで、映画の最初のところに出る会社名を見てみると、TaodueやMediasetと出るわけです。ちょうど2014年の3月にSIGNISの世界大会がローマであり、私も行くことになっていたので、ローマに行くので『カロル』の版権の件で会いたいと両社に申し入れました。普通だったらイタリア人ですから、いい加減に対応する場合もありますが、Taodueの弁護士が日本の九州大学に1年留学していた人だったので、きちんと対応してくれました。調べて貰うと版権はMediasetでもなく、Taodueでもなく、Universalのイギリスがもっていました。ただ版権業務はHollywood Classics社に委託していて、そことコンタクトを始めて2014年春に正式に契約することができました。

 

翻訳作業

『カロル』の翻訳が始まる前、EWTNを日本に紹介したいと思ったことがあって、通信講座の英語字幕翻訳コースを受講していました。決して成績は良くなかったのですが、なんとか、終了できました。字幕翻訳の約束事だけは、理解していたつもりだったので、「映像字幕翻訳の約束事のポイント」を作成し、みんなに配りました。しかし、やってみないと分からないものです。やりながらマスターしていきました。長すぎるとはみ出ちゃうとか、読み切れないとかになってしまいます。字数が少ないと読み終わったあとに、まだセリフが続いていて、どうしようもないということが出てきてしまいます。きちんと字数・時間とタイミングを合わせるのに苦労しました。

『聖ヨハネ二十三世 平和の教皇』

そして、次の作業に移るわけですが、必要なのはビデオハウスです。SIGNISのメンバーの一人に教えてもらって、その会社に依頼しました。その会社はすごくよくやってくれました。

翻訳作業は最初はつらいものでした。しかし、やっているうちに結構楽しくなっていきました。

最終的に神父様を巻き込んで、細かいところのチェックをしていただきました。ポーランド語が一部入っていたので、ポーランド人の神父様にもご協力いただきました。下訳の時間等を含めると、字幕翻訳は6回見直しをして約4ヶ月かかりました。

『カロル』については、2000枚売れればいいと思っていたのですが、現在3000枚ぐらい売れています。3500枚つくりましたので、あと500枚ぐらい残っています。

 

『聖ヨハネ二十三世』

『カロル』のDVDを高見大司教様に差し上げたら、「これだけのことができるんだったら、是非やってもらいたいDVDがある」と頼まれたのが、『ヨハネ二十三世』。字幕翻訳は、11回見直して約9ヶ月かかりました。1000枚売れればいいと思っていましたが、現在だいたい1000枚売れ、やはり500枚ぐらい残っています。

 


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