ヴィクトリア女王 最期の秘密


イギリスの女王というと、すぐに思い出すのは、今年在位67年を迎えるエリザベス女王です。67年間も王として君臨しているエリザベス女王は、在位としては最も長い女王といえるかもしれません。エリザベス女王の在位には届きませんが、イギリスが大英帝国として、各地に植民地をもち、最も勢いのあった時期に63年間も君臨した女王、ヴィクトリア女王がいます。彼女のことはいくつも映画に描かれていますので、ご存じの方も多いことでしょう。彼女の最後の数年間を描いた映画「ヴィクトリア女王――最期の秘密」が公開されます。その作品をご紹介いたします。

1887年インドがイギリス領になって、29年目、インドのアグラで刑務所の記録係をしていたアブドゥル・カリム(アリ・ファザル)は、博覧会に出品する絨毯が評価されたことに加え、長身だったために、ヴィクトリア女王の即位50周年の記念式典で記念金貨“モハール”を献上する役に任命されます。もう一人の献上役モハメド(アディール・アクタル)とともにさっそくイギリスに渡ることになります。

名誉なことと胸を躍らせ、船に乗り込むアブドゥルに対し、代役で任命されたモハメドは乗り気ではなく、どちらかというとすぐにでも船を降りたい様子です。長旅となる船の中で、2人は、王宮での振る舞いや礼儀作法を叩き込まれていきます。

一方、バッキンガム宮殿では、いびきをかき、寝入っている老齢のヴィクトリア女王(ジュディ・デンチ)がたくさんの使用人たちに抱かれるように起こされ、身支度がどんどん進んでいきます。そんな状況の中で、秘書のポンソンビー(ティム・ピゴット=スミス)が細かく定められた1日のスケジュールを読み上げていきます。

ウィンザー城の大広間での祝宴で、ファンファーレとともに豪華な料理が次々と運ばれてきます。ものすごいスピードであれよあれよという間に料理を運ぶ女王に対し、来客たちは、そのペースについていけず、あっという間に料理が下げられていきます。

アブドゥルとモハメドがインド帝国より送られた記念金貨を献上するため、女王のもとに金貨を運びます。退きながら、見てはいけないといわれている女王を見つめてしまい、目が合ってしまい、微笑みかけます。

翌日、秘書ポンソンビーが「金貨はお気に召しましたか」と問うと、女王は「のっぽがハンサムだった」と答えます。

役目を終え、帰国の準備をしているアブドゥルたちが呼び止められ、園遊会でゼリーを女王に渡す役目を仰せつかります。首相から良くない情報が次々に伝えられ、気分を害している女王にゼリーを運んだアブドゥルは、女王の前にひざまずき、つま先に口づけをします。突然の行動に騒然となる周囲をよそに、女王は「元気が出たわ」と笑顔になります。すっかりアブドゥルを気に入った女王は、祝典期間中、2人を従僕にすることにします。

女王は、従僕となったアブドゥルのまっすぐな人柄に魅かれ、インドの文化や言葉を習うことになります。そうなると周囲は面白くありません。皇太子を始めとして皇室職員たちの陰口がささやかれています。それが女王の耳にも入り、周囲に嫌気をさし、湖の別荘に行くことにします。

この別荘は、女王が最も愛した夫や従僕ジョン・ブラウンとの思い出の詰まった場所です。愛するものに先立たれた孤独にうちひしがれ、傲慢で嫉妬深い子どもたち、女王の重責など、抱えている本心を打ち明ける女王に対し、的確な言葉を与えるアブドゥルを心の師と考え、強い絆が生まれます。

2人の間に強い絆が生まれれば生まれるほど、周囲の嫉妬と猜疑心が生まれます。2人の関係はどうなるのか、皇太子の対応は……。ヴィクトリア女王とアブドゥルとの関係から生まれる真実の友情物語をぜひ劇場でご覧ください。本物にこだわったスティーヴン・フリアーズ監督の描く美しい世界を堪能できるはずです。

(中村恵里香:ライター)

 

2019年1月25日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー!

監督:スティーヴン・フリアーズ/脚本:リー・ホール/音楽:トーマス・ニューマン /撮影:ダニー・コーエン/プロデューサー:ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ビーバン・キドロン、トレイシー・シーウォード
出演:ジュディ・デンチ、アリ・ファザル、エディ・イザード、アディール・アクタル、ティム・ピゴット=スミス、マイケル・ガンボン
2017 年/イギリス・アメリカ/112 分/カラー/シネスコ/原題:Victoria&Abdul /配給:ビターズ・エンド、パルコ
コピーライト:©2017 FOCUS FEATURES LLC.
公式サイト :www.victoria-abdul.jp

 


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