エターナル


韓国映画というとすぐに思い出すのが韓流ブームですが、私自身、あの大騒ぎに違和感を感じこれまで避けてきたのですが、なぜか今回試写会場に足を向けてみる気になりました。なので、韓国映画については初心者同然で、主演のイ・ビョンホンなる役者も観たことがあるようなないような状況です。韓国映画大好きな人には怒られるかも知れませんが、韓国映画をちょっと見直したので、皆さんにもぜひ観ていただきたいと思い、ご紹介します。その作品は『エターナル』です。でもこの作品は、超大作でも、ハデな宣伝をするような作品でもありません。

証券会社の支店長カン・ジェフン(イ・ビョンホン)は、いわゆる日本でいえばエリートサラリーマンです。韓国の狭い社会の中で教育を受けさせるより英語教育をきちんと受けさせたいと、息子と妻スジン(コン・ヒョジン)をオーストラリアに留学させ、自分は家族のために 仕事に励んでいました。

そんななか、会社が膨大な不良債権を出した末に破綻してしまいます。決して損をさせない。この証券は絶対に儲かると勧めたにもかかわらず、不良債権と化したことに土下座し、債権者に謝る姿は、バブル崩壊後の日本の証券会社の姿を思い出しました。

安定した収入も、社会的地位も、人としての信用も、一瞬にして失ってしまった。カン・ジェフンは、虚 しい心の穴を埋めるかのように、家族が暮らすシドニーの家を初めて訪れます。しかし、そこで見たものは、隣家の男性と親しく過ごす妻の姿でした。ショックのあ まりその場から立ち去った彼は、深夜営業のレストランで空港から降りたときに知り合ったジナ(アン・ソヒ)と再会します。ワーキングホリデーを利用し、オーストラリアの農場で働いていたジナは、韓国に帰るため、貯金を韓国のお金に換えるため、同じ韓国人のグループに欺かれ、お金もパスポートもだまし取られてしまいます。

カン・ジェフンの家族の様子とジナの連れ込まれた家を探すことが二人をつなぐ絆となります。カン・ジェフンはこれまでの人生に思いを馳せ、やがて残酷な真実と向き合うことになっていきます。ある意味、すごくセンチメンタルな映画です。

でも、最後のどんでん返しは衝撃的でした。これ以降は皆さんが観て下さい。

この映画で、イ・ビョンホンは、「決してハデな映画でも、何万人も動員する映画でもありません。でも、この映画で本当に大切なものは何かを感じてもらえれば」といっています。

本当に大切にすべきものは何か、深く考えさせられる映画です。バブル時代、24時間戦えますかといったコマーシャリズムに踊らされ、必死に働いてきた後に向かえたバブル崩壊をちょっと思い出すような場面も多々ありますが、この映画の本質は、愛する人、大事なもの、大事な時間を振り返ってみてほしいというメッセージのような気がします。

中村恵里香(ライター)

スタッフ
監督:イ・ジェヨン/脚本:イ・ジェヨン
キャスト
イ・ビョンホン、コン・ヒョジン、アン・ソヒ
原題:Single Rider/製作年:2016年/製作国:韓国
配給:ハーク/上映時間:97分

2月16日からTOHOシネマズ 新宿ほか全国ロードショー

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