神さまの絵の具箱 9


末森英機(ミュージシャン)

世界一、こころから追い払われるときにこそ、たましいがよろこぶさまが、聞こえる。「これらのことで、神さまはアブラハムを試された」(創世22:1)で始まる。あまりにも長いあいだ見捨てられていたから、あなたを、愛したい希みははてしなく。愛がとてもなら、罪の少しでも多いところへゆこう。あのパダダイスのそばへ。泣きすぎて、目が見えなくなって、雪さえわからなくなっても。罅(ひび)の入った笑窪(えくぼ)だけが、こだまのように、あなたとお話をするでしょうから。

こうです、あなたを愛すれば愛するほど、なにもしてられなくなり、わたしが力の無さに抱きしめられれば、抱きすくめられるほど、あなたを愛さずにはいられない。それを知らずに、来た者に災いあれ! それをそれ、わからずに来たものに幸あれ!

そう、あなたは籠(かご)に鳥を飼うことを、お許しにならなかった。あなたは、財布を空にして、心つねに奪う。この愛を、続けたいと思います。という言葉だけを、指紋はないのに、わたしたちの心臓のきれはじにあなたは指紋をつける。おさない子らのほうに、いよいよ運んでいけるように。そして、巡礼者たちを手伝いなさい。それで、祈りのささめきに満ち満ちた、あなたの軍団の一兵士であることがわかる。

吹き込む風によって、鳴りやまぬこの世のアコーディオンの調べのように。やがて、失敗した乞食になる。笑み崩れる。さて、アブラハムはわが子に手をかけようとしたとき、木の茂みに角(つの)を取られた、羊を見つけた。そこは〝イエラエ〟といつまでも呼ばれる。

「主の山に備えり―主は備えてくださる(ヤーウェ・イルエ)」と。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

eight − 8 =