ターシャ・テューダー——静かな水の物語


ターシャ・テューダーという絵本作家をご存じでしょうか。実は、私はその存在すら知りませんでした。「アメリカで最も愛される絵本作家」、「スローライフの母」という売り文句にひきつけられるように見に行って、びっくり。こんなすてきな人がいるのだろうかと目からうろこが落ちるような気分にさせられ、ぜひ皆さんにご紹介したいと思い、この記事を書いています。

この映画は、ターシャ・テューダーの軌跡を描いたドキュメンタリー映画です。ターシャ・

©2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

テューダーは、1915年ボストンの文化人夫婦のもとに生まれました。ターシャ本人とその息子セス、孫のウィンズローを中心とした周囲の人びとの証言をもとに描き出したものです。

ターシャの生き方は魅力に溢れています。70年間絵本作家として活躍し、子育てを終えた56歳の時に彼女の考えるアメリカが最も輝いていた時代1830年代のようなコテージを、アメリカらしい土地としてターシャが選んだバーモント州に土地を購入。ターシャのものがたりの主人公、コーギー犬から名を取ったコーギー・コテージを息子のセスに設計をさせ、そこに移り住みます。

そこでの生活は本当に「大草原の小さな家』のような生活です。91歳という年齢なので、すべての動作はスローモーですが、彼女のいう「私はスティルウォーター教よ」という言葉に思わず納得させられるものがあります。スティルウォーター=“静かな水”は、大きな波に流されることなく、静かに前進するという彼女の生き方をあらわしています。

この映画の中で、ターシャは、「忙しすぎて心が迷子になっていない」と私たちに語りかけています。この言葉は、時間に追われ、仕事に追われている私たちにゆったりお茶を楽しみ、自然に触れる生活の大切さを語りかけています。

 

また、「誰でも思い通りの人生を送ることができるのよ」とも語りかけます。「美しい世界を謳

©2017 映画「ターシャ・テューダー」製作委員会

歌しないのは間違い」「人生は短いから不幸でいる暇はない」「決してあきらめないことが肝腎」「人生は忍耐の連続だった」「人生は小さな選択の積み重ね」とさまざまな示唆を与えてくれます。

 

本当のスローライフとは何なのか。決してあきらめない人生とは何か。この映画の中で、彼女の生き方と言葉の中に答えが隠されているようです。

 

そして、彼女は、「これほどすてきな人生はないわ」と締めくくるのです。人生の終焉に向かうまでの日々の中で、こんな言葉を紡ぎ出せるターシャという人の素晴らしさを感じてみてはいかがでしょうか。

2017年4/15(土)より角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー
配給:KADOKAWA

(中村恵里香=ライター)

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