タレンタイム〜優しい歌


日本では、民族の違いや宗教の違いでさまざまな障害が起こるということはあまり見られませんが、今回ご紹介する映画、「タレンタイム〜優しい歌」の舞台マレーシアでは、さまざまな障害が起こることをはじめて知りました。マレーシアはイスラム国家で、さまざまな人種の人々が共存している国家です。たとえば、イスラムを信仰している人と他宗教の人間が結婚した場合、それが男女どちらであろうと、イスラム教に改宗しなければならないという事実があるそうです。

さて、この映画は、とある高校で音楽コンクール「タレンタイム」の開催が決まります。タレンタイムというのは、マレーシア英語で、学生の芸能コンテストのことだそうです。ピアノの上手なムルー(パメラ・チョン)は、両親に内緒でタレンタイムのオーディションに参加します。一方、二胡を演奏するカーホウ(ハーワード・ホン・カーホウ)。成績優秀でギターも上手な転校生ハフィズ(モハンマド・シャフィー・ナスウィップ)、そしてもう一人、耳が聞こえないマヘシュがムルーの送り迎えを担当することで、この4人を中心に話が進みます。

タレンタイムのファイナリスト7人のうちに残る3人とマヘシュ(マヘシュ・ジュガル・キショー)とともにこの映画に深みを与えているのが、その家族たちです。

© Primeworks Studios Sdn Bhd

ムルーはとても仲のよい家族に囲まれ、裕福な生活をしています。一方、カーホウは、いつも一番であることを要求する父の圧力に悩んでいます。ハフィズは、重い脳腫瘍を

抱え入院中の母を心配させまいと、一所懸命です。

そして、マヘシュは、早くに父を亡くし、母方の叔父ガネーシュにかわいがられていますが、その叔父は自身の結婚式の時に隣人によって殺され、それによって母が寝込んでしまいます。それぞれの抱えている問題に向き合いつつ、前に進もうとする青年たちですが、ムルーとマヘシュは、お互いにひかれていきます。

そこで、大きな問題となるのが、民族と宗教です。この映画の主人公、ムルーは、父はイギリス系とマレー系の混血児、母はマレー系で、イスラム教徒です。ハフィズはマレー人のムスリム、カーホウは中国系、マヘシュはインド人でヒンズー教徒です。

© Primeworks Studios Sdn Bhd

イスラム教徒とヒンズー教徒の間の恋の行方は……。そして、タレンタイムの結果は……。反目していたカーホウとハフィズは……。すべて観てのお楽しみです。多民族国家ならではのマレーシアの問題を、若者を通して、鋭く描いた作品です。ぜひ映画館でご覧になってください。

 

 

3月下旬シアター・イメージフォーラム、4月シネマート心斎橋ほか全国順次公開
配給:ムヴィオラ
監督・脚本:ヤスミン・アフマド/撮影:キョン・ロウ/音楽:ピート・テオ
出演:パメラ・チョン、マヘシュ・ジュガル・キショールほか
原題:Talentime|2009 |カラー |115分 | マレー語・タミル語・英語・広東語・北京語
公式サイト  www.moviola.jp/talentime

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

16 − 12 =