コロナ前の世界を目指して活動を再開


羽鳥裕一(バーディー羽鳥)

2021年秋の訪れと共に長く規制が掛かっていた感染予防策の緊急事態宣言が解かれ世の中は何となく以前の日常に戻ろうとしている様です。我々も2年間のブランクを経ていよいよこの10月から徐々に音楽活動に取り掛かることになりました。“2年”という期間は我々の様な高齢者にとってみれば実に手痛い足踏み待機でした。なんか急に老化が進んだ様な気が致します。

思えばある時(それまでの個人的な活動以外に)新たに“ハレルヤシンガーズ”というボーカルグループを結成し、往年のスイング時代の雄“グレンミラー楽団”のステージを再現するということで実にユニークな経験をすることになりました。それがタイミングも良く米国アイオワ州クラリンダで開催されている“グレンミラー生誕地協会フェスティバル”に日本から参加することになりました。これにはジャズ評論家の瀬川昌久先生のご推挙やグレンミラー生誕地協会日本支部の青木会長などのバックアップを頂き本格的に取り組んだものであります。

2016年6月、慶應ライトミュージックソサイエティーシニアOB バンドの“スイングエクスクワイアオーケストラ”の皆さんと我が“ハレルヤシンガーズ”はアイオワ州クラリンダに赴きフェスティバルに参加してまいりました。

これが中々好評でフェスティバル参加以降も定期的にオーケストラとの活動を継続してまいりました。

ジャズの世界も幅広く、小さいバンド編成で活動することが殆どですが17人編成のビッグバンドと共演するということは稀なことであります。お陰様で本家のグレンミラーオーケストラが毎年来日公演をすれば我々も聴きに行きますし楽屋にも伺います。そのような交流が出来る様になったのも大きな収穫であります。

2017年南青山の曼荼羅で開催した我々のライブに来日中だったグレンミラーオーケストラのバンドリーダーニックヒルシャーさんが来て下さりステージ上に上がってもらい歌までご披露したという素晴らしい思い出もあります。

こういう経験が次に活きてくるから益々音楽活動は面白くなってまいります。私たちは皆様に愉しんで頂ける様ジャズ以外のメニューも積極的に取り入れショー展開も中々ユニークで好評を頂きまして、通常のライブ以外にも高級老人ホームなどにも出張して演奏するなど快調なペースで活動の輪を広げて行きました……ところが突如世界中が震撼したコロナパンデミックにより、世の中の状況が一変してしまいました。

“不要不急”という嫌な言葉が毎日聞かれるようになり自宅に籠ることを強いられました。これにはまいりましたね。もうお手上げです。暫くするとリモート云々という現象が定着しまして音楽の世界もリモート配信をするミュージシャンが出てきました。確かにプロのミュージシャンはそういうことでもしないと生活が出来ませんから積極的です。そういう意味では東京オリンピックも無観客開催を敢えて結構したくらいですから……。

勿論私の所にもリモート配信の話は来ましたが、前回の記事にも書きました通り無観客・リモートでのパフォーマンスなどは一切興味が無いのでお断りしておりました。

所が、通常のライブなどではなく慶應義塾大学の大規模同窓会(連合三田会)が今年はリモート開催にすると宣言し名前も“デジミタ”としたのであります。例年慶應日吉キャンパスは連合三田会の1 日は出店など多数出店、記念行事やゲストを招いてのショー、また外国車などが当たる福引きなどなどで大変な賑わいを見せて来ました。

私は今からもう10数年前より三田会OBバンドとしてイベントには必ず参加しておりました。そこで今回は大会実行委員会が三田会OBバンドの演奏は例年通りの大教室で本番想定でのビデオ撮影を事前に行うと言ってきましたので、さてリモート?ビデオ撮り?と一瞬ためらいましたが、“よーしやるしかない!!”との結論に達し唯一例外の無観客リモート配信ビデオ撮りに参加した次第です。

何はともあれこのようにして少しでもコロナパンデミック以前の世界へ戻ろうとする動きが出て来た訳であります。世の中のあらゆる場面においてこのような復帰活動が進みノーマルな姿に戻って行くことを願ってやみません。皆様、どうかご健勝にお過ごしくださいますよう。

2021年10月吉日

羽鳥裕一(バーディー羽鳥)
ジャズシンガー
ハレルヤ・シンガーズ
バーディーズ・ミュージック&エンタテインメント代表

 


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