岡村光章(詩人)
地震とは、地下深い所で岩石が破壊される現象で、破壊のショックが地中の波となって伝わり、地表に達したときに地上のものを揺らす現象のことです。
日本の国土面積は、地球上の陸地の約400分の1に過ぎないのに、日本列島及びその周辺から吐き出される地震や火山噴火のエネルギーは、地球全体の約10分の1に達しています。これは、日本列島が世界有数の変動帯に位置しているからです。
地球の表面は、14枚のプレートと呼ばれる岩盤に覆われていて、それらは互いに動き合っています。
地震などの災害がすごく少ないフランスの大部分は、ユーラシアプレートという一つの堅い岩盤層の上に成り立っています。
ところが、日本列島の周辺には4枚のプレートがひしめき合っています。それらは互いに動き合っており、これらの境界あたりで、海のプレートが陸のプレートの下に沈み込んでいる所もあるし、陸のプレート同士がぶつかり合っている所もあります。
1.太平洋プレート
海のプレートです。千島海溝~日本海溝~マリアナ海溝と続く海溝の所で日本列島を乗せているプレート(北米プレートとユーラシアプレート)の下に沈み込んでいます。
2.フィリピン海プレート
小さな海のプレートですが、ごく浅い海溝(トラフ)である相模トラフや南海トラフに沈み込むときに地震が発生します。
3.北米プレートとユーラシアプレート
ともに陸のプレートです。その境界が新潟県の糸魚川から静岡にかけて伸びる「糸魚川~静岡構造線」であり、日本列島を東北日本と西南日本とに分断する大構造線です。
地震は、「海溝型の巨大地震」と「内陸直下の地震」、「沈み込むプレート(海洋プレート)の中が割れて起きる地震」に大別できます。
「海溝型の巨大地震」は、太平洋プレートやフィリピン海プレートが、日本列島を乗せている北米プレートやユーラシアプレートの下に沈み込んでいる海溝部で発生します。
海のプレートは陸側のプレートに毎年じわじわと引きずり込みながら沈み込んでいきますが、ある所まで来ると、陸側のプレートが限界に達して大きく反発します。
このとき、はね返った陸側のプレートと海のプレートの境界で大規模な断層活動、つまり大地震が発生するとともに、巨大津波が発生します。
平安時代の貞観地震以来と言われた、東日本大震災はこのタイプの地震、津波です。
「内陸直下の地震」で大きな災害をもたらすのは、活断層の活動によるものが多い。活断層とは、過去に繰り返し活動した証拠であり、将来も地震を発生させると考えられる断層です。
最近、トカラ列島で地震が頻発していますが、このタイプの地震です。
最初に定義しましたように、地震の原因は、地下で岩石が破壊される現象に起因しています。
三つのタイプに共通した現象です。
さて、日本列島では震度7レベルの地震が頻発しています。
1993年の北海道奥尻島の地震、1995年の阪神・淡路大震災では約10万5千戸の住家が全壊しています。2004年の新潟県中越地震、そして2011年の東日本大震災、22,332名の死者・行方不明者が発生しました。2016年の熊本地震、熊本城が被害を受けました。そして2025年の能登半島地震。
地震に関して、日本列島に安全な地域などありません。
近い将来、東京湾北部を震源地とする直下型地震、南海トラフ地震は確実に起こります。
確実に起こる地震にどう備えるか、自助、共助、公助が基本です。
次回以降は、自助、共助、公助について述べたいと思います。


