火の華


自衛隊は海外でどのような活動をしているのか、私たちは穂と温度知ることがありません。そんな中、2016年、実際に報道された自衛隊日報問題は、衝撃を与えました。その日報問題を題材にした映画『火の華』がまもなく公開されます。

2016年、南スーダンでPKO

生き残った島田、行動を共にした田中康平(田中一平)と香川雄介(新岡潤)は、政府から命令を受けた派遣施設隊長・神崎遼(山崎潤)によって口を封じられます。

2年後の2018年、島田は、後悔の悪夢に悩まされていました。自衛隊を辞めた後、小さな鉄工所で働きながら、危険な武器ビジネスに関与し、銃器の製造をしていました。親友古川の家族に死の真実を伝えられないことに強い自責の念を抱き、匿名で古川家のポストに現金封筒を投函し続けていました。

工場では黙々と働いていた島田ですが、ある日同僚が手にしていたハンマーによって忌まわしい記憶を刺激され、気がつくと、同僚の首元を押さえつけていました。工場の社長は、苦渋の思いで島田を解雇しますが、行く末を考え、花火工場を紹介します。

紹介された藤井煙火を訪ねた島田に対し、社長の藤井与一(伊武雅刀)は、事情も聞かず、ただ線香花火の作り方を教えてくれます。そんな藤井の姿に魅了され、島田は世話になることを決めます。親方の娘・昭子(柳ゆり菜)や長老の仲川兼(ダンカン)、職人たちに支えられ、少しずつ心の傷を癒していきます。その一方で、工場にある特殊火薬を銃弾に使用した武器ビジネスからも抜けられずにいました。
武器ビジネスから足を洗い、花火師として生きていくことを決意し、最後の取引現場に向かうと、そこにはクライアントとして生死不明だった伊藤隊長がいました。古川の死を隠匿した自衛隊と、“平和国家”を謳う日本への不信感から伊藤はクーデターを画策していたのでした。伊藤の思いに共鳴した香川と田中が計画に加わる中、島田は一線を越えられずにいました。

決められない島田の心をよそにクーデター計画は進行し、自衛隊内で行われる花火大会当日、伊藤たちのクーデターが起こります。さて、島田の行動は、クーデターは成功するのか、花火大会のゆくえは、それは観てのお楽しみです。

この作品の根底には私たちの知ることのできない自衛隊の闇と共に、その自衛隊に所属した人間の根の深いPDSDの問題が描かれています。戦争の底にある心の問題と共に平和とは何かを訴えています。そして、花火に託された鎮魂と平和への祈りがあるような作品です。ぜひ映画館に足をお運び観てください。

中村恵里香(ライター)


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31日(金)ユーロスペースほか全国順次公開

公式ホームページ:https://hinohana-movie.com/

監督:小島央大/脚本・企画:小島央大、山本一賢/エグゼクティブプロデューサー:成宏基/プロデューサー:キム・チャンバ/アソシエイトプロデューサー:前原美野里/撮影監督:岩渕隆斗/撮影:巻島雄輝、学/美術:原田恭明/照明:渡邊大和/録音:加唐学/ヘアメイク・キャラクタースーパーバイザー:橋本申二/衣装:YK.jr/編集・音楽:小島央大/主題歌:大貫妙子 坂本龍一

キャスト

山本一賢、柳ゆり菜、松角洋平、田中一平、原雄次郎、新岡潤、キム・チャンバ、ゆかわたかし、今村謙斗、山崎潤、遠藤祐美、YUTA KOGA、ダンカン、伊武雅刀

2024年製作/124分/G/日本/配給:アニモプロデュース


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