映画にはさまざまな映画があります。泣けるもの、大いに笑えるもの、考えさせられるものと作品ごとにさまざまなものがあり、一つひとつの作品は作り手の思いの詰まったものです。
今回ご紹介したいと思った作品は映画を観た後に元気をもらえるような作品です。
「風に吹かれた」と突然町にやってきたアンジー(草笛光子)は、廃屋のような休業中のBARを見つけ、不動産屋に交渉に行きます。貸し渋る不動産屋のところに物件のオーナー(寺尾聰)がやってきて、アンジーを一目見て貸すことをOKします。
いわくつきの物件ですが、近所にいるホームレスの中から大工の技術のある人(無平直平)や電気工などの人たちに声をかけ、順調にBARの開店に突き進んでいきます。「人間まともなもん食わないとだめよ!」「本当に怖いのは人間だけだ」「過去に追いつかれると食い殺されちまうからね」「いくつになっても生きることは簡単じゃないの。面倒だし複雑だし汚いことだらけ」と、心に刺さる名言を厳しくも優しく投げかけながら、悩み多き町の人々をだんだんと変えていきます。
そして、順調に開店に向けて突き進んでいく中、周囲に妙な人間が現れてきます。
「完成させることが重要ではなく、始めることが重要なの」というアンジーは周囲の人たちを招き、BAR“NOBOD'S FOOL”は開店します。
店の中は和気藹々とお祝いムードの中、店の周りには、不穏な空気が流れてきます。不穏なムードが店内にも感じられるようになると、「最初の一歩を踏み出したら動く、動く、動く。でも何でも潮時がある」との言葉を残し、店の中の人たちの協力を得て、アンジーは脱出しようとしますが、さて、その後は皆様映画館に足を運んで観てください。
草笛光子さんは、この作品について、「この映画は不思議な映画です。風が吹くように現れた得体の知れない女が出会った人の人生をそっと変えてしまいます。」と述べています。
監督の松本動(ゆるぐ)氏は、「老若男女、誰もが憧れるような“アンジー”を誕生させ、草笛さんに楽しく自由に演じてもらうことで、“アンジー”の活躍に魅了される素敵な映画がきっと生まれ、観てくれた人達を元気にしてくれるだろう」という願いと想いを込めたと語っています。
最高齢の女優・草笛光子さんの年を感じさせない活躍がこの映画の最大の魅力です。ちょっと元気のないときに、アンジーの言葉と行動で元気をもらってみてはいかがでしょうか。
中村恵里香(ライター)
4月4日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国公開
公式ホームページ:https://angienobar.com/
監督:松本 動(ゆるぐ)/脚本:天願大介
キャスト:
草笛光子、松田陽子、青木 柚、六平直政、黒田大輔 、宮崎吐夢、工藤丈輝、田中偉登、駿河メイ、村田秀亮(とろサーモン)、田中要次、沢田亜矢子、木村祐一、石田ひかり、ディーン・フジオカ、寺尾 聰
製作プロダクション:ザフール/配給: NAKACHIKA PICTURES/ ©2025「アンジーのBARで逢いましょう」製作委員会