中村恵里香(ライター)
パウル・クレーの描いた45点の絵とその絵に谷川俊太郎氏が18編の詩を添えた詩画集です。クレーの描く絵に寄り添うように谷川俊太郎氏が添えることで絵と詩が一体となって二重奏を奏でます。パウル・クレーといえば、特徴的な色彩のイメージがありますが、かわいらしい線画の天使も描かれていることをこの本で知りました。
谷川俊太郎氏は、キリスト教徒ではありませんが、クレーの線画による天使の姿を独特な表現で表しています。スケッチというよりなんだかラクガキしたようなさまざまな天使が描かれています。印象的なのが「泣いている天使」「忘れっぽい天使」です。
谷川俊太郎氏によれば「クレーの天使は人間的だ」「そしてクレーの天使たちのほとんどは成功者ではなく失敗者のように見える」と書かれています。谷川氏の詩を読んだ後にクレーの天使を絵を見ると、心が洗われるような気持ちがします。私たちの心に潜む天使たちが私たちに「目覚めておいで」と語りかけているように感じます。