2023年夏・英国の山旅 レイク・ディストリクトとスコットランド(2)


※前回の記事はこちらです。

古谷章

7月1日(土)スカフェロパイク登山

昨夜来天気が心配だったが、朝起きると曇ってはいるが雨はやんでいた。ウェスデールというスカフェロパイクの登山口まで10マイルほどだ。大きな駐車場がありそこに車を置いて出発。雨が降りだしそうなうえ寒いのでしっかりと身支度を整えた。イングランド最高峰だけあってか他にも登山者は多い。最初は周囲の景色も眺められたがだんだんガスがかかり、視界も悪くなった。最初はヒースの草原の中を歩いていたが、最後は岩のゴロゴロする登山道になった。

スカフェロパイク山頂の標高は975mと決して高くはないが、登山口の標高が70mほどなのでそれなりの標高差のある山だ。登ることちょうど3時間で頂上に着いた。けれど濃いガスに覆われていて何も見えず、おまけに寒い。5分ほどの滞在で下りにかかった。

登りの時は登山道を間違えることもなかったのだが、下りの途中でいつの間にか他の登山口に下る道に入ってしまった。気づいてすぐに登り返して事なきを得たが、とんだアルバイトではあった。日本の山にあるような分岐点などにある道標がほとんどなかった。下るにつれ天気は回復してきたのでゆっくりと休みながら下り、昨夜と同じゴスフォースのホテルに泊まった。

 

7月2日(日)ゴスフォースからグラスゴー近郊のローズバンク

かつて学んだアウトワードバウンド・マウンテン・スクールの校舎

ホテルを出て、まずは車で15分程のアウトワードバウンド・スクールのエスクデール校へ。ここは51年前に学んだ登山学校なので再訪を楽しみにしていたのだが、残念なことに、ちょうどコースとコースの間のためか誰もいなかった(4週間のコースを年に10回近く開催しているはずだ)。形ばかりの柵を開けて敷地に入ってみると、半世紀前と全く同じ石造りの立派な校舎などがあり懐かしかった。生徒を登山口まで運ぶ数台のマイクロバスやカヌーを満載したトラックなども駐車していて、相変わらずだ。

その後、近くのフットパスを歩いてみたりしてから、アイリッシュ海を左に望む「景勝ルート」を北上し、さらに高速道路を経てグラスゴー南郊のローズバンクのホテルに着いた。この町はその名の通り花卉産業の盛んなところのようだった。

 

7月3日(月)ローズバンクからグレンコー経由スペアンブリッジ

ローズバンクを出てから大都市グラスゴーには立ち寄ることなく、高速道路を通って横断し、ロッホ・ローモンドへ。有名な観光地だけあって観光客が多く、特に中国人の団体が目立っていた。

さらに北上してグレンコーを目指すにしたがい景色は荒涼としてきた。途中で何度か車を停めて周りを少し歩いてみるが、だんだん雨が強く降りだしてきて気温も下がってきた。これでは明日登ろうと計画しているスコットランド最高峰のベンネヴィス登山はとても無理だとすっかりめげてしまった。

グレンコーの谷に入ってからグレンエティヴの谷筋に沿った道に行ってみる。ここは30年前にも車で走って草と岩の斜面を流れる滝の流れに感激したところだが、今も変わらぬ光景だ。時折強く降りつける雨の中を林道の終点まで往復した。

グレンコーの村の中にあるヴィジターセンターを見るなどしてから少し離れたスペアンブリッジのホテルへ。この地域の中心となるフォートウィリアムは混んでいて宿泊施設を確保できなかったのだ。

 

7月4日(火)ベンネヴィス周辺ハイキング

昨日と変わって天気の良い朝になった。しかしこの天気は午前中だけの予報なので標高1334m(登山口の標高はほぼ0m)のベンネヴィス登山は諦めた。そこで近くのネヴィスレンジ・スキー場のゴンドラを利用して標高約700mまで登ってから、その周辺の草原で眺めの良い2時間ほどのハイキングをした。ベンネヴィスの山頂はガスの中だったが、周囲を見下ろすと眺めが良く気持ちの良い所だった。

予報に反してなかなか天気が崩れないのでベンネヴィスの登山口に行ってみたが、当然その時間からでは登頂は無理なので1時間ほど登ったところから引き返した。

その後少しドライブを楽しんでからスペアンブリッジのホテルに戻った。

 

7月5日(水)グラスベイン周辺でハイキングの後にキンガスジー

グラスベイン周辺でハイキング

天気がすっきりしないのであきらめてしまったベンネヴィス登山だが、天気は回復してきた。そこで少しは歩いてみたいので、グラスベイン(標高732m)という山を周回する沢沿いのハイキングに行くことにした。

細い林道を走りトレイルヘッドの駐車場に着いた。そこから静かな沢沿いのトレイルを歩く。途中から幅の広い林道歩きになったが、山腹をトラバースする道からの眺めは天気の良いこともあって気持ちが良い。林道から外れて沢筋を詰めていくと立派な柵があり「DANGER」と書かれた看板があった、どうもその先は道が荒れているようだ。山を一周どころか半分も周回していないが、しかたなく来た道を引き返すことにした。同じ道ではあるが、行きと帰りで印象が違い、それなりに面白い歩きだ。出発から3時間ほどの歩きで駐車場に戻った。

町に戻る途中、大西洋と北海を水路で結ぶカレドニアン・キャナルの可動橋があり、ちょうど橋を回転させて船を通すところを見ることができた。

その後は景色の良い所で車を停めて休むなどのんびりと走ってキンガスジーのゲストハウスに到着した。

(つづく)

 


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