アアルト


私たちが知る海外の建築家で有名なのは、日本でも作品を残しているフランク・ロイド・ライトやル・コルビジェではないでしょうか。また、北欧家具は私たち日本人のある意味憧れでもあります。そんな北欧フィンランドを中心に世界中で活躍した建築家であり、デザイナーのアルヴァ・アアルトと妻アイノを中心に描かれたドキュメンタリー映画がまもなく公開されます。

1898年生まれのアルヴァ・アアルトは、ヘルシンキ大学(現アアルト大学)卒業後、1923年アルヴァ・アアルト建築事務所を設立します。その事 務所に入ったアイノは、その後、アルヴァと結婚し、1932年、「ボトル下ブリック/アイノ・アアルト グラス」を発表し、広く名前が知られるようになります。1935年には、2人がデザインする家具や照明器具、テキスタイルを世界に販売することを目的に「アルテック」を創業します。1949年間にアイノが亡くなるまでに交わされた2人の間の手紙とさまざまな建築家の証言を中心に2人の作品群と貴重な映像や写真を中心に描かれています。

その後、アルヴァは、事務所に入所したエリッサと結婚し、活躍の場を広げていきます。

アルヴァの建築物の魅力はただまっすぐに建物を建てるのではなく、例えば川に沿った大学を建てる時には、川に沿って、波打ったような建物を建て、どこからでも川が見渡せるように建てたり、どこ建物を大きな窓で、光がふんだんに取り入れることのできることにあると思います。また、ただ建物を建てるというのではなく、どこかに遊べるものになっているのではないかと思いました。

自然と融合し、その世界の中に溶け込むような魅力的な建物に加え、私たちが知っている北欧家具のさきがけとなるような作品群がそこにはありました。その作品群には、アルヴァとアイノの情熱があることを知ることができます。

生涯で300の建物を建て、実現しなかったものも200棟があるというアルヴァの作品の中に教会建築もありました。3つの十字架の教会、聖霊教会、イタリアのリオラの教会は、日本でしか教会を見ていない私には、なんとも驚きの建物ものでした。

日照時間が極端に短いフィンランドの自然を理解し、「自分の家を少しでも快適に過ごせる場所にしたい」と願う人々の思いが如実に表現された魅力的な建物群と温かな光を放つ照明器具や柔らかな曲線を持つ家具などの世界に浸ってみてはいかがでしょうか。

中村恵里香(ライター)

1013日(金)〜ヒューマントラストシネマ有楽町、UPLINK吉祥寺

1028日(土)〜 東京都写真美術館ホール ほか全国順次公開!

公式HPaaltofilm.com

原題:AALTO

監督:ヴィルピ・スータリ(Virpi Suutari

2020年/フィンランド/103分/© Aalto Family© FI 2020 - Euphoria Film /制作:2020年/配給:ドマ/宣伝:VALERIA/後援:フィンランド大使館、フィンランドセンター、公益社団法人日本建築家協会 協力:アルテック、イッタラ

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

9 − 6 =