宮沢孝幸『京大 おどろきのウイルス学講義』藤崎衛訳、PHP新書、2021年。
定価:1,023円 224ページ
昨年読んだ本をご紹介します。
新型コロナで大騒ぎしている中、本屋さんで見つけた本。便乗本かと思ったらなんのなんのタイトルの通りおどろきの本でした。
今回の新型コロナウイルスは2003年に流行したSARSコロナウイルス(重症急性呼吸器症候群)の近縁種で、SARS-COV-2というものだそうです。
ヒトウイルス感染症は頻繁に現れるそうで毎年2〜3種の割合で現れているそうです。
新型コロナはその一つ。
特別なものではありません。
ウイルスは人が進化する過程のずっと前に地球に存在していました。
特にレトロウイルスと呼ばれるウイルスが特徴的。ヒトレトロウイルスを発見したのは日本人だそうです。
レトロウイルスと言っても昔を懐かしむ古いウイルスの事ではありません。人間の遺伝子情報(ゲノム))に作用するウイルスで既に人間のゲノムの9%はレトロウイルスが作用して書き換わってしまっているそうです。
その作用の中には、私たちの誕生に役立っているウイルス、進化を促進してきたウイルス、がんを抑えるなど、人の進化に必然となる機能を持っているものがあるとの事。
これを読んだだけでも驚きです。
人はウイルスと共に生きている。
狂犬病や鳥インフルエンザもウイルスの仕業。動物の世界には種々のウイルスがあり、人に感染すると危険なものもいます。
ウイルスって何だろう。
単にウイルスを恐れるばかりではなく、ウイルスと共進化していることが理解できる本として興味深く読みました。
良かったら是非ご覧になってください。
あき(横浜教区)
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