古谷章・古谷雅子
9月26日(月)第12日目 晴 <行程15.0km/累計292km>
カルデニュエラ・リオピコ~ブルゴス
いよいよ最後のブルゴス到着の日だ。朝食を食べられるはずの7時に階下のバルに行ったがまだ開いておらず、他にも数人がドアの外で座り込んで待っていた。寝坊したらしい不機嫌な顔をしたマダムが遅れて出て来て、コーヒーとトースト程度の軽い朝食を食べた。
ブルゴスに近づくと国道沿いの「無味乾燥な道」と、古い村々を通過する道とに分岐するとのことだったので、「無味乾燥な道」を避けたいと考えていた。しかし、平坦な道を調子よく歩いているうちに分岐を見落としてしまい、飛行場脇から国道に続く道に入ってしまった。引き返すほどのこともないのでそのままブルゴスを目指すことにした。
ブルゴス郊外の町、ビジャフリアは新しく開発したらしい広い工場地帯となっていて、たくさんの工場が並んでいた。これまで田舎道ばかり歩いてきた後だけに新しい市街地を通ってみるのも新鮮な驚きがある。その中にブリジストンの大きな工場があった。厳重な金網越しに見る敷地内の芝生はきれいに刈られてごみ一つ落ちていない。建物には落書きもないし、窓ガラスもきれいに磨かれている。日本ならごく普通のことだが、ここスペインの工場では見たこともない極めて珍しい光景だ。
ブルゴスは大都会だけあって、入口にある町の看板を見てから1時間以上かかってようやく町の中心地に着いた。さっそく一昨日にあらかじめブッキングコムから予約しておいた Hotel Alda Entrearcos に行った。チェックインの時刻まで間があるので、荷物を預けてカフェに入った。今回予定していたエル・カミーノの全行程が終了したことを祝って、クレープや名物の血入りソーセージをつまみにカーニャを飲んだ。
その後、スペイン三大聖堂の一つで世界遺産でもあるカセドラルに行った。入場料は7€だが、巡礼手帳を見せると半額になった。入ってみるとまさに壮麗にして壮大だ。13世紀に着工して16世紀に完成したというカセドラルは、内部だけでなくファサードやバットレス、それに塔などのデザインを見るととてもユニークな部分があり、感動というより驚いた。そして、かのガウディーは決して突然変異的に現れた天才ではなく、スペインの歴史の中から必然的に生み出された存在なのだと納得した。ブルゴス城址からの眺望も徒歩旅の締め括りらしい素晴らしいものだった。
カルデニュエラ・リオピコ 7:50 ~ ビジャフリア 8:55 ~ ブルゴス入口 9:35 ~ ブルゴス 10:45
9月27日(火)~10月3日(月)
ブルゴスでのんびりした後、翌27日にバスでマドリッドに戻った。予定より早く歩き終えたので帰国までの日程に4日間の余裕ができた。そこでマドリッドから近い、城壁で有名なアビラ、「宙づりの家」のある古都クエンカ、それにローマの水道橋で有名なセゴビアに28日から30日までの連日、鉄道かバスで各々往復した。一見効率は悪いが、それらの町を互いに結ぶ交通の便が乏しいので、マドリッドからの往復をせざるを得ないのだ。また10月1日は昨年に続きプラド美術館をほぼ終日費やして観て回った。
2日の夕方、バラハス空港からまたドーハ乗継のカタール航空の便に乗り、3日の夜遅く羽田空港に到着した。