バーニングオーシャン


2010年4月20日、アメリカのルイジアナ州にほど近いメキシコ湾沖の石油掘削施設ディープウォーター・ホランゾンで未曾有の大事故が起こったことを覚えていらっしゃるでしょうか。日本でも大きなニュースになり、油にまみれたペリカンの映像が今も目に焼き付いています。

最先端テクノロジーが搭載された石油プラットフォームといわれたディープウォーター・ホライゾンの内部で何が起こったのか。突然の爆発に襲われた126人の作業員はどのように行動したのか。その安全性は本当に大丈夫だったのか。ニューヨーク・タイムズの記者が生存者一人一人に克明にインタビューした記事に基づいた映画が公開されます。タイトルは「バーニングオーシャン」です。

トランスオーシャン社のエンジニア、マイク・ウィリアムズ(マーク・ウォールバーグ)は、愛する妻フェリシア(ケイト・ハドソン)、幼い娘と別れ、メキシコ湾沖の石油掘削施設ディープウォーター・ホランゾンで電気技師として、3週間の務めを果たすため、妻の運転でヘリポートを目指します。

そこには、施設主任ジミー・ハレル(カート・ラッセル)、アンドレア・フレイタス(ジーナ・ロドリゲス)の姿もありました。

126人が働く、ディープウォーター・ホランゾンは、最新テクノロジーを備えた巨大施設ですが、問題が山積の施設でもありました。電気系統の故障が相次ぎ、次から次へと修理が必要になってきます。

石油掘削を依頼しているBP社は、工期の遅れを問題とし、管理職のヴィドリン(ジョン・マル

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コヴィッチ)は掘削作業終了前に必要なテストをせずに担当者を帰してしまいます。安全よりも工期を重視した結果、掘削泥水の除去作業が開始されます。作業員は「これでもうすぐ家に帰れる」と活気づきます。その夜、海底のメタンガスが猛烈な勢いでライザーパイプに吹きあげた影響で、大量の原油が会場に漏れ出す事故が起こります。

事故の様子はぜひ映画館でご覧ください。実際のディープウォーター・ホランゾンを再現し、その壊れゆく姿は釘付けになること請け合いです。その時、人びとは何をし、どう動いたかも克明に描かれています。脱出劇もその克明さに胸打たれます。

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そばで海底から泥の積み込みを待っていた船に救助された人びとは、船上から崩れゆくディープウォーター・ホランゾンを見守ります。作業員一人一人の名を呼び、その犠牲者の持ち場が集中していることに動揺した作業員たちは、「主の祈り」を唱えます。ここに、祈りの重要さが訴えかけられます。

この映画は、安全とは何か。家族とは何かを訴えかけると共に、祈りによる救いが描かれているように思いました。

ハリウッド映画の超大作というと、スケールの大きさだけが話題になりますが、その裏にある訴えかけに目を向けることも大事だと教えられる映画でした。

中村恵里香(ライター)

スタッフ
監督:ピーター・バーグ/脚本:マシュー・マイケル・カーナハン、マシュー・サンド/製作ロレントィ・ディ・ボナヴェンチュラ、マーク・ヴァーラディアン、スティーブン・レヴィンソン、デヴィッド・ウォマーク

キャスト
マーク・ウォールバーグ、カート・ラッセル、ジョン・マルコヴィッチ、ジーナ・ロドリゲス、ディラン・オブライエン、ケイト・ハドソン

原題:Deepwater Horizon、配給:角川映画

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2017年4月21日、全国ロードショー

公式サイト :http://burningocean.jp/


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