7月15日(水)晴れ
モリナセカ~ビジャフランカ・デル・ビエルソ(30.7㎞)
5:10出発、6:30-7:00ポンフェラーダ、7:50-8:10コロンブリアノス、9:20〜9:40カンポナラヤ、12:00ピエロス、13:40ビジャフランカ・デル・ビエルソ
暗いなか、国道に沿って歩き、間もなくポンフェラーダの市街に入る。ポンフェラーダはエル・ビエルソ 郡の行政、商業の中心都市でローマ時代からの鉄の街としても栄えた。城砦の高い壁が暗い空にそそり立っている。ポンフェラータの街を通り抜けるのに30分程かかる。
朝食のバルを探しながら歩いたが、なかなか見つからず結局2時間半も歩いてコロンブリアノスという田舎町に到着。客引きのお兄さんに導かれるまま、街道からちょっと引っ込んだバルに入る。
巡礼路を歩くと朝方必ず聞ける鶏の鳴き声がここでも聞けて何か日本の農村を歩いているような感慨にとらわれる。ボカディージョを食べながらふと電柱の上を見るとコウノトリに似た大型鳥がてっぺんに巨大な巣を作っており、あたりを睥睨(へいげい)している。巣の下側には別の小鳥が出入りしており、どうやらこの鳥は大家さんのようだ。
しばらく歩くと太陽が昇り急に暑くなる。カンポナラジャを過ぎ、一面のブドウ畑の中の一本道を行くとワイナリーがある。このあたりはビエルソ郡のワインの生産地のようだ。野生化したブドウを摘まんでみるとなかなかの味だ。長い巡礼路の中ではリンゴやブドウ、サクランボ、 ブラックベリーなどが慰めになる。
ローマ時代以来という道を歩いてカカベロス、ピエロスといった小さな村を過ぎようやく今日の目的地、ビジャフランカ・デル・ビエルソに到着。
名前の通り11世紀にフランス人が開拓した町のようだ。中世には教会や修道院も多数あり、巡礼路の重要な拠点だったらしい。壁にピカソ 風の絵が描いてあったりマリア様と仏様が合体した一本づくりの大きな木彫があったりするちょっと怪しげなアルベルゲ、アベ・フェニックスに入る。シャワー、洗濯、昼寝のルーチンを済ませ、これまたルーチンのバルでのビールに続き、隣り合わせのレストランでポークチョップ、さやえんどうのスープ、ワイン、デザートの巡礼メニューを摂る。
7月16日(木)晴れ
ビジャフランカ・デル・ビエルソ~オ・ソブレイロ(30.5㎞)
4:55出発、6:40〜7:20トラバデロ、8:45〜9:10アンバスメセタス、10:30〜10:40ラス・エレリアス、12:00〜12:20ラ・ファバ、13:15ラ・ラグナ・デ・カスティージャ、13:50レオン州、ガリシア州境界、14:15オ・ソブレイロ
今日は標高1300mのオ・ソブレイロまで800mの登りとなるので5時前に出発する。暗闇の中、大声で話しながら歩くカップルのアメリカ人に会う。
渓流沿いの国道で新国道も並行して走っている。渓流に鱒を見る。トラバデロの入り口で持参したパンやバナナなどを食べ、これからの登りに備える。
50人くらいの高校生が先生に引率されて歩いているのに出くわす。いくつかのグループに分かれており、 総勢200名ほど、ぺちゃくちゃ話しながら歩いている。マドリッドから来たらしい。夏休みの遠足で巡礼路の一部を歩くようだ。
これからオ・ソブレイロ峠に登るという道端でアフリカの楽器を叩きながらジュースを売っているおじさんがおり、どーも、とか、おいしいよ、とか日本語を話すので思わずオレンジジュースを買う。
アンバスメセタスのバルでクロワッサン、コーヒー、ジュースの朝食を摂る。道は徐々に急になり、歩みが遅れる。巡礼につきものの杖を売っている店がある。これからの登りに備えよ、ということか。
標高900mの街、ラ・ファバでコーラを飲んで一休みする。四国から来たというおじさんが元気に歩いてゆく。連れは別に歩いているらしい。
標高が上がるにつれて大きくうねる高原に拓かれた牧場が見渡す限り続き、のびやかで明るい山岳風景に心が癒される。道は尾根筋のようなところに続いており、これがガリシア風というのだろうか。レオン州の荒涼とした乾燥地と比べ海に近づいた分、湿度が上がったのか木々も心なしかみずみずしい。13:50に標高1300mのオ・ソブレイロ峠に着く。
ここがレオン州とガリシア州の境で、それを示す石標がある。写真を撮ってお祝いする。巡礼路全般にい えることだが落書きが多く、この石標にも無数の落書きがある。この道が世界遺産というだけに落書きと道端のトイレットペーパーの多さは残念な気がする。
やがてオ・ソブレイロの山頂に建つ瀟洒なアルベルゲに着く。高校生の大集団はここからバスで帰るらしく、疲れ切った顔で三々五々休んでいた。住民は30人ほどと極めて小さい集落だが、町おこしで作られた公営アルベルゲだ。ここにあるサンタ・マリア・ラ・レアル教会は9世紀に建てられた巡礼路中最古の教会とのこと。ここからサンチアゴに向かって巡礼を始める人もいるらしい。
宿近くのバルでタコの看板を見つけ、入る。タコの足をニンニクで炒め、岩塩を振りかけたシンプルな一品だが久しぶりに海の香りを見つける。ちなみにタコはプルボ、イカはカラマーレ(これは覚えやすい!)と言うらしい。ここからサンチアゴまでカニャ(生ビール)と並んで度々使う言葉となる。
アルベルゲのチェックインは長蛇の列だったが1段ベッドでスペースも広く、しかも涼しいのでとても快適だ。その上1泊6ユーロ! 山上なので風景も素晴らしく、コース中最良のアルベルゲだった。定食の夕食を済ませ宿に戻り、洗濯物を取り込むため干し場に行くと山上だけに風が強く、パンティーやブラジャーなどが散乱していたがお馴染みの風景なので気にもならない。