スペイン巡礼の道——エル・カミーノを歩く 5


7月14日(火)晴れ

エル・ガンソ~モリナセカ(32㎞)

5:10出発、6:40ラバナル・デ・カミーノ、8:25〜9:00フォンセバドン、9:25鉄の十字架、10:40-11:05イラゴ峠、12:10〜12:25エル・アセボ、13:05リエゴ・デ・アンブロス、14:30モリナセカ、15:00アルベルゲ着

%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%8e5-4%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%8e5-1昨日調達したカップめんと紅茶(ここはビスケット、コーヒー、お茶はサービス)を食べて出発。同宿舎はかなり多く、中にはベルギーから2000㎞歩いてきたと言うグループや一人歩きの若い女性も混じっている。

エル・ガンソの標高が900m、今日はイラゴ峠まで600mの登りだ。暗い中、ヘッドランプにたくさんの手製十字架が道端の網に引っかけてあるのが浮かび上がる。巡礼の印のようだ。坂道を登って行くと石畳の道になり、そこがラバネル・デ・カミーノだ。数日前に見たキックスクーターのおじさんをまた見かける。標高が高くなるにしたがって木が少なくなり、ハーブのような針葉の植物やイネ科を中心の草が主な景観となる。

水場を通り過ぎフォンセバドンに入る。この村はかつて廃村だったが巡礼が盛んになるにつれ人が戻り、バルやアルベルゲも見られる。ここのバルで例によってコーヒー、ジュース、トーストの朝食とする。しばらく行くと山頂らしきところに大きな柱が見える。柱の周囲に巡礼者が出身地から持ってきたたくさんの小石が積まれており、てっぺんに小さな鉄の十字架がくくりつけてある。石積みを登り記念写真を撮ってもらう。

%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%8e5-5小一時間歩くとイラゴ峠に着く。標高1530m、今回の最高点だ。峠には軽食と飲物を売る車で仮設バルが開店している。一休みののち、緩い下りとなる。1時間ほどで廃村のマンハリンを通り、国道と未舗装道を交互に歩きながら標高を下げる。尾根道のような気持ちの良い山路だ。太陽の攻撃がなければどんなに快適か、と思いながらどんどん下る。道端に十字架を表した石が置かれ、いかにも巡礼路らしい。

後ろから何やら近づいてきたので振り返ると馬に乗った巡礼者だった。マウンテンバイクの巡礼者も多く、時折、結構のスピードで追い越して行く。

300mほど下って来るとエル・アセボの村に入る。石畳の街道に沿って小ざっぱりした家が並び、バルやアルベルゲもあって、巡礼が盛んになるにつれ村も活気が出ているようだ。ひたすら標高を下げ、午後2時半に巡礼者の橋を渡って今日の目的地モリナセカ(600m)に着く。今日の高低差は1400m、今回の行程では最も長い1日となった。

%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%8e%ef%bc%95-2%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%8e5-3久しぶりに豊富な水をたたえた川を見る。川がせき止められ、プールのようになっており水浴びをしてい る人や川岸でビールを飲んでいる人も見かける。強烈な日差しを避けるため、プラタナスの上部を切って枝を横に這わせ、ぶどう棚のように作り上げた木陰でくつろいでいる人も多い。街中の広場に2009年6月ジャパン・スペインカミーノ友交記念と刻んだ石柱が立っているのに出くわす。そこを通り過ぎしばらく行くとアルベルゲ・サンタマリナがあり、そこを今日の宿とする。

%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%8e5-6%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%8e5-8出迎えた管理人が指さす方を見ると四国八十八か所めぐりの手ぬぐいが張り付けてあり、関連の日本語の本やら、町長が四国を訪れた時の新聞の切り抜き記事やらを見せてくれる。エル・カミーノは徒歩と馬は100km、自転車は200㎞以上を踏破するとサンチアゴで巡礼証明書をもらえるが、そのためにはアルゲベルデでパスポートを見せ、スタンプを押してもらう必要がある。しかしここでは四国めぐりの話をしながら受付を済ませた結果、おじさんがスタンプを押し忘れたのに気づいたのは数日後だった。

%e3%82%a8%e3%83%ab%e3%83%bb%e3%82%ab%e3%83%9f%e3%83%bc%e3%83%8e5-7シャワー、洗濯のあとベランダで乾杯。シャワーもベッドも部屋も清潔だがスペインは牛と馬の世界、ハエの多さには参る。ハエを追いながら乾杯。例によって午睡後、町のバルに繰り出しビールを飲んだ後、続いて夕食のためレストランに行く。川沿いのためか鱒のフライがメニューにある。今晩はサラダ、ステーキ、野菜スープに赤、白のハウスワインだ。


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