クリスマスについて書かれた小説やクリスマスを舞台にした小説はけっこうたくさんある。
それらを紹介しようと思って探していたら、とてもいい本が見つかった。
中井俊巳著「心に灯りがともるクリスマスストーリー」。実は電子ブックで、いまこれをamazon で購入すると380円である。
世界でよく知られたクリスマス物語や実話などを短く紹介した本(横書き)です。
収録している物語は、つぎの9つ。
1.「あなたの心を持ってきてくれました」手塚治虫作
2.「クリスマス・キャロル」チャールズ・ディケンズ作
3.「賢者の贈り物」O・ヘンリー作
4.「なぜ鐘はなったのか」レイモンド・M・オールデン作
5.「素晴らしき哉、人生!」1946年アカデミー賞受賞映画
6.「きよしこの夜の誕生物語」オーストリアの実話
7.「乞食の天使」スペインの民話
8.「かけがえのない贈り物」実話
9.「もう一人の博士」ヴァン・ダイク作
クリスマスの心である、愛や思いやり、奉仕、感謝、与え合うことの大切さなどが味わえます。
著者の中井さんは元カトリック学校の教師。私は中井さんのメルマガ『心の糧』の愛読者である。「カトリック生活」や「心のともしび」などにも連載記事を書かれている。
http://www.donboscosha.com/product/7631
http://tomoshibi.or.jp/radio/nakai/
この「心に灯りがともるクリスマスストーリー」のなかにはよく知られたものもあれば、はじめてきくものもある。それがわかりやすくコンパクトに書かれていてちょうどよい。私は「賢者の送りもの」「もう一人の博士」の話が好きだ。
これを紹介するだけではちょっと後ろめたいので、私もとっておきのクリスマス・ストーリーを紹介したい。私は「宗教」の授業でクリスマス近くになると「私からのクリスマス・プレゼント」といってこのショートストーリーをプリントして渡す。
それは「ベツレヘムの星」(アガサ・クリスティ著 中村能三訳 早川書店刊 1977年刊)である。
http://tsuchy1493.seesaa.net/article/394055668.html
舞台はベツレヘムの馬小屋。幼子を見つめているマリアに天使が現れ、「この子の未来を覗かせてあげよう」という。マリアは胸をときめかせながら未来を見るのだが………。
まず見せられた場面は「ゲッセマネで祈るイエス」であり、次にゴルゴダの丘へ十字架を背負いながら歩む場面、そして2人の盗賊と共に十字架につけられた場面、そしてイエスが裁判で死刑を判決される場面であった。
マリアはこれが私の子の未来であるわけがないと否定するが、天使は「これがこの子の未来なのだ。もしこの子にこういう辛い目に遭わせたくないなら、この子を私があずかってもよいが…………。」
マリアはこの天使の申し出をことわる。そして結末はミステリーのような「どんでん返し」があったりして興味をそそる。
ではよいクリスマスとお正月を!