新型コロナウイルス感染防止対策の中で過ごしてきたこの1年、春、夏を経て、秋の真最中、冬の足音も近づいています。「パンデミック」「ウイルス禍」などと切り出される2020年の状況は、わたしたちの日常生活、仕事、勉学など、あらゆる局面を変貌させ、これが一時的な対処で済まされなさそうだということも重く気づかされつつあります。「ウィズコロナ」という言葉に示される心情です。
あらゆる差異を超えて、すべての人に押し寄せているこの状況の中で、わたしたちは、今までに使ったことのないアタマを使い始めています。そして、小さなことでも、今までしてこなかったことに取り組み始めています。なかには、オンライン会議のように、これまでも十分に可能だったのにニーズが感じられていなかったものが、今、大活躍しています。それらのものに本当のニーズと可能性を発見した年だったといえるかもしれません。ただし、それも万能薬とはいかないでしょう。できなくなって苦しくなっているもの、失ったものに苦悩している人も時間もまた多いのです。
とはいえ、いずれにしても“実践と思索の新たな地平”が広がってきていることが感じられます。東日本大震災という出来事も確実にそうでした。そして今、全人類に及んでいるこの状況が何か新しいものを開きつつあることは確かでしょう。そんな希望をもって、今回は、志をもってそれぞれの実践活動に携わっている人々の文章を味わい、自分たちの感覚でも受けとめ、忘れていたものを思い出し、思索を広げ、行動する勇気をもらっていきたいと思います。
コロナの時代だからこそ、できることを……分かち合いの新たな方法を模索する
光ることばを探していこう~~晴佐久昌英・片柳弘史『希望する力 コロナ時代を生きるあなたへ』紹介レポート