アドヴェント(待降節)は「冒険 (adventure)」

アドヴェントとは「キリストの降誕を待っているとき」のことで、キリスト教の暦では聖アンデレの日11月30日に最も近い日曜日から、クリスマスまでの4週間をいいます。最も長いのは11月23日からの28日間、最も短いのは12月3日からの22日間です。

アドヴェントの語源は「到来」「降る」を意味するラテン語の「adventus」からきていて、ここには「降ってくる予期せぬものすごい出来事」という意味もあります。ここから「冒険(adventure)」という英語が生まれます。「神の子がこの世に降りてくる」という救い主の誕生は「冒険」でもあったのです。

15174685_1082685041848402_427446522_n カトリック教会の典礼では、この間は断食や苦行などの「犠牲」を献げ悔い改めのうちに待つことがすすめられます。そのため4つの「主日(日曜日)」のミサ服は「悔い改め」を意味する「紫」であり、またこの期間「栄光の賛歌(グローリア)」は歌われません。

教会では「アドヴェント・クランツ」と呼ばれる4本のろうそくが立てられたリースが祭壇の下に置かれています。4回の主日のミサのときに1本ずつ増やして火をともしていきます。この「クランツ」の習慣は19世紀にドイツから始められたもので、クランツはラテン語では「コロナ corona 」で「王冠」を意味することばで「賞賛、崇敬、戴冠」を表現します。

先日輸入食品を扱っている「KALDI」で「アドヴェント・ボックス」を見つけました。1から24までの書かれた扉のついた箱からつくられていて、その中にはキャンディが入っていました。アドヴェントになったら、一つずつキャンディを食べていいということを意味しています。

アドベントbox

アドベントbox

おそらく家庭ではおやつはキャンディ一つだけであとは食べないで「犠牲」として献げることというように言い聞かせられていたと思われます。また、このアドヴェントの間は一日一ついいことをする、あるいはなにかを我慢して、それを「犠牲」として献げるようにという家庭もあったことでしょう。
この「犠牲を献げる」という習慣は最近の教会ではほとんど言われなくなりましたが、大切にしたい習慣だと思います。

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GoodNewsCollection http://nyumonkouza.net/2011/11/28/%e3%82%a2%e3%83%89%e3%83%99%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%bb%e3%83%9c%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%b9/
「心のともしび」http://tomoshibi.or.jp/radio/2014/12/20.html

(や)


洗礼者ヨハネが活躍する季節

待降節(アドベント)の意味をもっと知りたいと思うとき、カトリック教会の日曜日(主日)のミサで読まれる聖書朗読の内容を無視するわけにはいかない。すると、一つ面白いことが見つかる。待降節の第2主日と第3主日の福音朗読では、洗礼者ヨハネが話題の中心になっているということである(カトリックの主日ミサの朗読配分は、A年、B年、C年という3年周期で構成されているが、このことはどの年も同じ)。待降節をクリスマス、つまりキリストの誕生を祝う準備の季節とだけ考えていると、ちょっと意表をつかれてしまう。

洗礼者ヨハネは荒れ野に現れ、「悔い改めよ、天の国は近づいた」と告げ、人々にヨルダン川で洗礼を授けたことで注目される人物。やがて

15世紀末のビザンティン・イコンパリ ルーヴル美術館蔵 先駆者聖ヨハネ (東方教会では、洗礼者ヨハネははっきりと先駆者と呼ばれる。これは、神の召命に応えている図。ザロメの願いで斬られることになる自分の首が前に置か れ、受難が暗示されている。このことでも彼はイエスの先駆者である)

15世紀末のビザンティン・イコンパリ ルーヴル美術館蔵 先駆者聖ヨハネ(東方教会では、洗礼者ヨハネははっきりと先駆者と呼ばれる。これは、神の召命に応えている図。ザロメの願いで斬られることになる自分の首が前に置かれ、受難が暗示されている。このことでも彼はイエスの先駆者である)

イエスも彼から洗礼を受けて、独自に「神の国」を告げ知らせ始める。洗礼者ヨハネは、言うならば、イエスの公的デビューのきっかけとも弾みともなった人物、そしてイエスが救い主であることを「わたしよりも優れた方」と最初に証しした人物である。そんなイエス登場の先駆者としての活躍が待降節の第2主日、第3主日の福音朗読で語られていくのである。

待降節は、神の救いの完成を待ち望み、それに向けて「目を覚ましていなさ

い」という呼びかけ(待降節第1主日の福音朗読)とともに始まる。そのとたん、眼差しは一転、時を遡ってイエスの宣教活動の始まりに向かい、洗礼者ヨハネが思い出されていく。その後になって、いよいよ待降節第4主日からイエスの生涯そのものの始まり、つまり降誕をめぐるエピソードが展開されていく。そこでの中心はもちろんマリアやヨセフ、幼子イエス。おなじみのシーンとなる。クリスマスの福音や聖歌、絵画、馬屋の模型などを通して我々の心を強くとらえるのは、この聖家族の姿にちがいない。しかし、その前に、待降節が洗礼者ヨハネを、そのイエスの先駆者・最初の証人としての活躍を思い起こす季節でもあることを心に留めておきたい。

救いの歴史と教会の暦が味わい深く絡み合っている。


一番すてきなクリスマス

町にジングルベルの音楽が鳴りはじめ、夜にはイルミネーションが飾られるころになると、ぼくにとってはいつも思い出すカレンダーがあります。それは燦葉出版社にいたときにつくった『天使トニーの一番すてきなクリスマス』というアドベンントカレンダーです。クリスマスまで、1日、1枚ずつ下ろして物語を読んでいきます。%e3%83%88%e3%83%8b%e3%83%bc%e8%a1%a8%e7%b4%99

天使トニーがかみさまから「一番すてきなクリスマス」をさがしてきなさいと言われて、小高い丘に降りてきたところから物語がはじまります。町の一番にぎやかなところにさがしに行ったものの、トニーは騒がしくて退散してしまいます。そこで、こんどは人々が生活している静かな町の方へ飛び回ることにしました。すると、ひっそりとした児童公園で一人の女の子が手紙をポストに入れるところに出会います。女の子は北の国のサンタさんへ手紙を届けようとしていました。しかし、住所がありません。そこへゆうびんやさんがやってきて、その手紙を受け取って行きました。女の子の手紙には「交通事故でお父さんが天国へ行ったので、去年の家ではなく、こっちの家に来てください」と書かれていました。トニーは、住所もないのにサンタさんへ届けられるのか不思議に思いました。%e3%83%88%e3%83%8b%e3%83%bc1

トニーは町を飛びながら、老人ホームや病院でのクリスマスを知ります。そして、おばあさんがしせつの子ども(いろいろわけがあって自分の家で暮らせない子ども)3人を家に泊まらせてあげて、クリスマスをお祝いしていることも知りました。%e3%83%88%e3%83%8b%e3%83%bc2

女の子へは、ゆうびんやさんがサンタさんになり、自分でチョコレートを買ってクリスマスプレゼントを贈ります。「あったかいこころを、めぐまれない人にプレゼントして、みんなでいっしょによろこぶ、これがすてきなクリスマスだったんだ」と天使トニーは、はっきりとわかりました。天使トニーは「一番すてきなクリスマス」を見つけて、かみさまに報告するために空へとのぼっていきました。

%e3%83%88%e3%83%8b%e3%83%bc3ぼくは、毎年このカレンダーを飾りながら、ほんとうのクリスマスってなんだろうかと思うのです。今年も、そのことを考えながらお祝いしなければと思います。

みなさんも、こころのあたたまるクリスマスをお迎えください。

%e3%83%88%e3%83%8b%e3%83%bc4『天使トニーの一番すてきなクリスマス』燦葉出版社(文・吉田よりこ 絵・楢喜八)〈現在品切れ中です〉

(鵜飼清/評論家)