ボブという名の猫2 幸せのギフト


人は一人では生きていくことはできません。自分一人で頑張っているようでも、いつも誰かの手助けがあります。その手助けをしてくれるのは、人間だけではありません。飼っている犬だったり、猫だったり、金魚なんてこともあるかもしれません。それを深く感じる映画『ボブという名の猫2 幸せのギフト』をご紹介します。

タイトルに2とあるからには1もあるわけですが、残念ながら私は前作『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』を観ていません。前作を観ていなくても、独立して成り立っているので、見ていなくても大丈夫ですが、簡単に説明します。ストリート・ミュージシャンとして生計を立てていたホームレスのジェームス・ボーエン(ルーク・トレダウェイ)は、薬物依存で親に見放され、どん底の生活を送っています。そんなジェームスに1匹の猫ボブと出会い、困難を乗り越えて成功するというものです。

さて、本作ですが、出版社が主催するクリスマスパーティに肩にボブを乗せたジェームスがやってきます。ホームレスからベストセラー作家になったジェームスは参加者から注目を浴びます。次回作の構想が思い浮かばないまま参加したパーティをこっそりと抜け出そうとしていたジェームスに著名な女流作家が声をかけます。彼女は、新しい本のインスピレーションを得るためのヒントを与えてくれます。

落ち込んだ気分のままクリスマスで彩られた町を歩いていると、若い大道芸帰任で路上生活者の若者ベンが警備員と警官に取り押さえられています。見かねたジェームスは、路上パフォーマンス条例を持出、警官に連行されそうになっていたところを助け出します。

ベンに温かい食事をごちそうしながら、ジェームスは過去に自分が体験したクリスマスの話を始めます。

ビッグイシューを売りながら、路上で演奏していたジェームスの毎日は、プリペイド式のガスメーターの残高をチェックする苦しい生活が続いていました。ホームレスを支援するビー(クリスティーナ・トンテリ・ヤング)の助けを借りながらなんとか生活する毎日です。

路上で演奏しているジェームスの姿を見つめている人がいました。それは動物保護局の人でした。路上生活者が猫を飼っていることを問題視し、ボブを引き離そうとしています。そんな時、ボブが病気にかかってしまいます。自分がボブといることで、ボブを不幸にしてしまうのではないかと考えているジェームスに食品販売をしているムーディ(ファルダット・シャーマ)は、自分も息子を亡くし、喪失感を経験していました。そんなムーディがジェームスに言った言葉が印象的です。「過去を未来の重しにするな。歩き続けろ」と言います。「ボブは?」と問いかけるジェームスに「旅の一部かも、違うとしても、愛情は数え切れないほど示したろ?」と語りかけます。

ボブは助かるのか、ボブとジェームスは一緒にいられることができるのか、そして話を聞いたベンはどうなるのか、ぜひ映画館に足を運んで観てください。

人は一人では生きていけない、さまざまな助けがあってこそ生きられると言うことを実感できるはずです。

ボブとジェームスが生み出した暖かな喜びが、いつしか周りの人を巻き込み、町全体の喜びにつながることを感じると思います。

(中村恵里香、ライター)

 

2022年2月25日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

公式ホームページ:http://bobthecat2.jp/

監督:チャールズ・マーティン・スミス/製作:アダム・ロルストン/脚本・製作:ギャリー・ジェンキンス

出演:ルーク・トレッダウェイ、クリスティーナ・トンテリ=ヤング、ファルダット・シャーマ

原作:ジェームズ・ボーエン「ボブが遺してくれた最高のギフト」&「ボブが教えてくれたこと」(辰巳出版)

原題:A Gift from Bob/2020年/イギリス/英語/92分/

© 2020 A GIFT FROM BOB PRODUCTION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

配給:コムストック・グループ/提供:テレビ東京、コムストック・グループ/配給協力:REGENTS                   

 


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