アート&バイブル 85:三人のマリア(女性)と空の墓


ジョバンニ・バッティスタ・ガウリ『三人のマリア(女性)と空の墓』

稲川保明(カトリック東京教区司祭)

ジョバンニ・バッティスタ・ガウリ(Giovanni Battista Gaulli, 生没年1639~1709)は、バッチア(Baciccia. 洗礼名のバッティスタが、出身地方でバッチアと呼びならわされていたため)の名前で知られるバロック期に活躍したイタリアの画家です。彼は彫刻家で知られるベルニーニの弟子ですが、ローマのジェズ教会(ローマのイエズス会本部教会)の天井画(聖イグナチオの栄光)が特に有名な作品として知られています。

さて、空の墓と呼ばれる場面は、マタイ28章1~8節では次のように語られます。

ジョバンニ・バッティスタ・ガウリ『三人のマリア(女性)と空の墓』(1684~85年  油彩 87×113cm ケンブリッジ フリッツジェラルド美術館 所蔵)

「さて、安息日が終わって、週の初めの日の明け方に、マグダラのマリアともう一人のマリアが、墓を見に行った。すると、大きな地震が起こった。主の天使が天から降って近寄り、石をわきへ転がし、その上に座ったのである。その姿は稲妻のように輝き、衣は雪のように白かった」。

天使は婦人たちに告げます。「恐れることはない。十字架につけられたイエスを捜しているのだろうが、あの方は、ここにはおられない。かねて言われていたとおり、復活なさったのだ」と。このことを弟子たち知らせるよう天使に言われると、「婦人たちは、恐れながらも大いに喜び、急いで墓を立ち去り、弟子たちに知らせるために走って行った」のです。

絵のタイトルでは「三人のマリアと空の墓」となっていますが、マタイでは「マグダラのマリアともう一人のマリア」、マルコ(16:1)では「マグダラのマリア、ヤコブの母マリアとサロメ」の名が記されており、ルカ(24:10)では「マグダラのマリア、ヤコブの母マリアとヨハナ、さらに一緒にいた婦人たち」と人数が増えています。そしてヨハネ(20:1)では、マグダラのマリアだけが墓に行ったと記されています。

 

【鑑賞のポイント】

アンニーバレ・カラッチ『三人のマリア(女性)と空の墓』(1590年代 油彩 121×46cm サンクト・ペテルスブルグ美術館所蔵)

(1)ガウリの絵では、二人の天使の姿が描かれており、一人の天使は天を指さして、婦人たちにメッセージを伝えています。真ん中に描かれている、身を乗り出して天使に近づいている女性は、香油の容器を抱きかかえており、この女性がマグダラのマリアだとわかります。彼女の服の袖が赤であることもこのことを裏付けています。

(2)もう一つのアンニーバレ・カラッチ(Annibale Carracci, 生没年1560~1609)の絵では、天使は一人だけでイエスの遺体が置かれていたところを指さしている姿が描かれています。この場面でも、天使に一番近いところに立っている女性が香油の容器を両手で抱えており、またこの女性だけが頭に被り物をせず、金髪が目えています。その他の二人の女性も大きな身振りで驚きと困惑を示しています。

皆さんはどちらの絵が気に入りましたか?

 


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