嘘八百 京町ロワイヤル


朝のワイドショーを見ていると、老舗のお店にアナウンサーが行き、その仕事をお手伝いするというコーナーをやっていました。そこでは、その店のお宝を拝見し、鑑定人が値段を査定していました。夜になればお宝鑑定番組を結構やっています。日本全国お宝ブーム? なんて思ってしまうのですが、そんなにお宝ってざらにあるものなのでしょうか。今日ご紹介する映画は『嘘八百 京都ロワイヤル』です。まさにお宝ブームにのったような展開の映画です。この作品、実は2018年に公開された『嘘八百』の続編なのだそうですが、前作を残念ながら見ていないので、本作品のみのご紹介です。

古美術商の小池則夫(中井貴一)は京都で骨董店を営んでいますが、骨董店のお客はほとんど現れず、娘の大原いまり(森川葵)の占いに列をなす始末。そんなある日、則夫の高校時代の同級生・青山一郎(吹越満)がプロデューサーを務めるお宝番組で取材されることに。やってきたのは番組スポンサーで、京都の有名な古美術店「嵐山堂」主人・嵐山直也(加藤雅也)と大御所鑑定人の億野万蔵(竜雷太)、「陶芸王子」として人気の若手陶芸家・牧野慶太(山田裕貴)です。陶芸家・野田佐輔(佐々木蔵之介)の作品を紹介しようとしますが、過去に則夫と佐輔が偽物に関わったことを曝露してしまいます。

則夫の店に着物姿の京美人・橘志野(広末涼子)が、父の形見を認知症の母がだまし取られたと、写真を1枚もって訪ねてきます。ときどき正気を取り戻す母が、茶器がないことを知ったら悲しむという志野の言葉に則夫はその作品がどんなものか調べ始めます。その茶器は、千利休の後を継いだ古田織部の幻の茶器“はたかけ”でした。

一方、則夫の相棒的存在の野田佐輔は個展の真っ最中でしたが、個展の中止を通告されてしまいます。そんなところにある男性(山田雅人)が訪れ、100万円差し出し、作ってほしいものがあるといいます。佐輔の妻康子(友近)は、偽物はやめたと突っぱねてしまいます。そんなところに則夫が“はたかけ”の写しを作らないかと持ちかけます。一度は断ろうとする佐輔ですが、その写真を見て驚きます。20年前、「樋渡開花堂」に“はたかけ”を作らされたことがあったのです。手元に残っていた予備の写しを差し出します。志野を助けたつもりの2人ですが、ネットオークションに出品されていることに気がつきます。

不審に思った2人は、志野を尾行します。彼女が入ったのは祇園の高級クラブでした。おそるおそる入店した2人にホステスとして迎えた志野は、驚くべき話をします。

なんと、この幻の茶器“はたかけ”は、嵐山と億野が仕組み、陶芸王子まで巻き込んだ贋物ビジネスだというのです。佐輔のもとに100万円をもってきた男は、「嵐山堂」の番頭で、TV番組で2人をおとしめたのは、佐輔を贋作史に引きずり込むためだったというのです。過去の報いにけりを付け、贋物ビジネスの陰謀を暴くため、志野と手を組むことを決めます。

「贋物を作るんじゃない。本物の腕を見せてやるんだ」と則夫にたき付けられた佐輔は京都の則夫のもとにやってきて、20年前以上の作品を作ろうと没頭します。

一方則夫は、嵐山に番組を降ろされ腐っていた青山を誘い大がかりな仕掛けを作ろうとします。青山の後輩・内村(坂田聡)にお宝新番組をでっちあげさせ、“はたかけ”のお披露目を生放送しようとします。

筆跡偽造の達人で居酒屋「土竜」のマスター・西田(木下ほうか)、どんな紙でも再現する表具屋・よっちゃん(坂田利夫)、木工指物は自由自在の材木屋(宇野祥平)、それに佐輔の息子・誠治(前野朋哉)を巻き込んでいきます。

その大がかりな仕掛けの番組とはどんなものなのか、そして、その贋作ビジネスとはどんなものなのか、そして志野の本性は、皆さん観てのお楽しみです。さまざまな人を巻き込み、笑いの渦に巻き込まれていく、まさにちょっとまじめなコメディです。

日本映画は多くのコメディを生み出した時代がありましたが、最近は泣かせる映画が多く、コメディといえる作品が少なくなっているように思っていたのですが、久しぶりに笑える映画に出会いました。ぜひ皆さん映画館に足を運んで観てください。

 

2020年1月31日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
公式ホームページ:https://gaga.ne.jp/uso800-2/

監督:武正晴/脚本:今井雅子、足立紳/音楽:富貴晴美
キャスト
中井貴一、佐々木蔵之介 、広末涼子、友近、森川葵、山田裕貴 、坂田利夫、前野朋哉、木下ほうか、塚地武雅、竜雷太、加藤雅也

2019年/日本/1時間46分/©2020「嘘八百京町ロワイヤル」製作委員会
配給:ギャガ


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