種をまく人


私たちの心の中にある差別意識は、どこから生まれてくるのでしょうか。どこかに正常な人とそうでない人という判断をしているのではないかとこのたびの教皇来日で深く感じました。そのフランシスコ教皇は、いつも弱きものへの目線を大切にしておられることを、深く感じたのは私だけでしょうか。

3年ぶりに精神病院から戻った高梨光雄(岸建太朗)は、弟・裕太(足立智充)の家を訪れます。 再会を喜ぶ姪の知恵(竹中涼乃)、その妹でダウン症の一希(竹内一花)に迎えられ、つかのまの幸せを光雄は味わいます。 その夜、知恵にせがまれた光雄は被災地で見たひまわりについて語ります。 知恵はその美しい景色を思い浮かべながら、太陽に向かって咲くひまわりと、時折ふと空を見ている愛しい一希の姿とを重ね会わせるのです。

翌日、知恵は光雄と遊園地に行きたい嘆願する。裕太と妻・葉子(中島亜梨沙)はそれを快く受け入れ、娘たちを光雄に預けますが、幸福な時間も長くは続きません。遊園地で突然の不幸が訪れます。その不幸は、一希の死でした。なぜ一希は死んだのか。そしてその真相は、映画を観てのお楽しみです。

この作品の監督竹内洋介氏は、「映画『種をまく人』は、オランダの画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホの人生と、東日本大震災の直後に被災地で見た一輪のひまわり、そして震災の翌年に生まれたダウン症の姪との関わりによって生まれました。
ダウン症という障害を持って誕生した姪は、同じ年代の子供たちと比べると成長のスピードがゆっくりです。しかし彼女なりのペースで感情の表し方を覚え、コミュニケーションの取り方を身につけ成長しています。 そして何よりも彼女の屈託のない笑顔はまるで天使のようで、本当に周囲を明るく照らすのです。
彼女の無垢な心、その笑顔に触れるたび、障害とは何か、個性とは何かを考えさせられます。 映画『種をまく人』を通して、障害と個性、それらを受け入れる社会や人のあり方について今一度考えたい という欲求と、そして何よりダウン症の姪の笑顔をこの映画に残し、より多くの人に見てもらいたいという 想いがこの映画を作らせました」と語っています。

そんなことを改めて感じられる映画に出会いました。その映画は『種をまく人』です。『種をまく人』と聞いて、『ルカによる福音書』8章4節から8節をすぐに思い浮かべる人もいらっしゃるでしょう。なぜタイトルが『種をまく人』なのかはぜひ映画館へ足を運んで観てください。人間の心の弱さと障害、そして差別を生む心とは何かを深く問う作品です。

中村恵里香(ライター)

★ 2019年11月30日(土)より池袋シネマ・ロサにてロードショー
毎週水曜日・日曜日はバリアフリー用日本語字幕付き上映

公式ホームページ:http://www.sowermovie.com/

 

監督・脚本・編集:竹内 洋介/撮影監督:岸 建太朗/撮影・照明 : 末松 祐紀/助監督・制作:島田 雄史/録音・整音:落合 諌磨/カラリスト:星子 駿光/キャスティングディレクター:森ゆかり

出演
岸建太朗、足立智充、中島亜梨沙、竹中涼乃、竹内一花、杉浦千鶴子、岸カヲル、鈴木宏侑、原扶貴子、植吉、ささき三枝、カウン・ミャッ・トゥ、高谷基史

2017/日本/117分
配給:ヴィンセントフィルム/宣伝:細谷隆広
©YosukeTakeuchi


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