ガーンジー島の読書会の秘密


ガーンジー島という島をご存じでしょうか。イギリスの中でもっとも南に属するチャネル諸島にあるリゾート地です。イギリスには属しておらず、イギリス王室保護領となっており、特殊な統治地域になっている島だそうです。このガーンジー島ですが、1940年ナチスドイツによるフランス陥落後、イギリスのヨーロッパ領域で唯一ナチスに占領された島だともいうのです。そんなガーンジー島を舞台にした映画が間もなく公開されます。その映画が『ガーンジー島の読書会の秘密』です。私は当初ガーンジー島がどういうところかも知らず、ただ、読書会の秘密というタイトルのみに惹かれて足を運びました。

第二次世界大戦後の1946年、ロンドンで作家として活躍していたジュリエット・アシュトン(リリー・ジェームズ)の元に1通の手紙が届きます。「僕はドーシー・アダムズ。ガーンジー島の住人です」という自己紹介から始まるその手紙がすべての始まりでした。ジュリエットがかつて古書店に売ったチャールズ・ラムの随筆集を手にしたドーシーがその本に書かれていた住所に送ったものでした。

手紙には、第二次世界大戦が終わり、ナチスの占領から解放された現在も島の本屋が復活していないので、ロンドンの本屋を教えてほしいと書かれていました。また手紙の中には、「僕の所属する“読書とポテトピールパイの会”は、ドイツ軍から豚を隠すために誕生しました」と書かれていました。この一文に作家として非常に興味を引かれたジュリエットは、彼がほしいといっている本を進呈する代わりに読書会について教えてほしいと返事を出します。

その返事にジュリエットはますます夢中になります。1940年ガーンジー島はドイツ軍に占領され、家畜を没収されたことで恐怖と飢えに苦しんでいました。そんなある日、ドーシー(ミキール・ハースマン)は、“秘密のパーティ”への招待を受けます。主催者はエリザベス(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)、会場はアメリア(ペネロープ・ウィルトン)の家です。アメリアが隠していた豚を、近所に暮らす友人たちで楽しもうというものでした。アイソラ(キャサリン・パーキンソン)が自家製のジンを、郵便局長のエベン(トム・コートネイ)がポテトとその皮だけでつくったポテトピールパイをお土産に駆けつけます。温かな料理を囲んで楽しい時間を過ごし、人間らしい時間を取り戻しますが、運悪くその帰り道にドイツ軍と遭遇し、エリザベスがとっさに「読書会です」と口走ったことで、文化活動を推奨していたドイツ軍からはお咎めなしとなります。

翌日、5人は急いで読書会の体裁を整え、ドイツ軍に届けを出します。カモフラージュで始まった読書会ですが、やがて5人は本を読んで仲間と感動を共有することに夢中になっていきます。「読書会は僕らの避難所でした」というドーシーからの手紙に感動したジュリエットは「皆さんにお会いしたい」というメッセージを付けて自著を贈ります。

ちょうどそのとき、担当編集者で長年の友人でもあるシドニー(マシュー・グード)から「タイムズ」紙でテーマが“読書”という連載の原稿を頼まれます。ガーンジー島の読書会を書こうと決めたジュリエットはドーシーからの返事を待たずに島へ旅立ちます。

タイトルから分かる通り、この読書会には深い秘密があります。ガーンジー島に渡ったジュリエットは読書会の面々と出会いますが、「タイムズ」紙に書くことは拒否され、読書会の中身についてはみな口を閉ざす始末です。さて、読書会の秘密はどんなものだったのか、ジュリエットはその原稿を書くことができるのか、それは皆さんが劇場に足を運んでぜひ見てください。たった5人の読書会にまつわる秘密には、驚くべき事実が含まれています。戦争、特にナチスドイツの絡んだ戦争映画はたくさんありますが、そこにある悲劇もさまざまです。小さな島ガーンジー島で起こった事件もその1ページに過ぎませんが、深く心に刻まれる映画です。

(中村恵里香:ライター)

8月30日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

公式ホームページ:http://dokushokai-movie.com/

監督:マイク・ニューウェル/原作:メアリー・アン・シェイファー、アニー・バロウズ/脚本:ドン・ルース、ケビン・フッド、トーマス・ベズーチャ
出演
リリー・ジェームズ、ミキール・ハースマン、グレン・パウエル、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、キャサリン・パーキンソンマシュー・グード、トム・コートネイ、ペネロープ・ウィルトン

© 2018 STUDIOCANAL SAS/2018年製作/124分/フランス・イギリス合作
原題:The Guernsey Literary and Potato Peel Pie Society
配給:キノフィルムズ/木下グループ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

one × two =