告白小説、その結末


ロマン・ポランスキー監督といえば、『ローズマリーの赤ちゃん』や『戦場のピアニスト』、『オリバー・ツイスト』などを撮った有名な監督です。新作を撮ったというので、これはぜひ観たいと足を運びました。『告白小説、その結末』はフランスで注目されている女性作家デルフィーヌ・ド・ヴィガンの書いた『デルフィーヌの友情』(水声社刊)を原作にした映画です。この映画、はっきり言ってすごく不思議な映画です。

ストーリーを長々説明する紙幅はありませんので、かなり割愛してご紹介します。デルフィーヌ・デリュー(エマニュエル・セニエ)は、心を病んで自ら命を絶った母親との生活を綴った私小説がベストセラーとなり、新たな仕事のオファーが次々と舞い込んできています。小説の赤裸々な内容が女性たちの共感を得て、パリのブックフェアのサイン会でも「すばらしい作品」「私に希望を与えてくれた」と讃辞の嵐が巻き起こります。しかし、デルフィーヌ自身は、多忙な日々に疲れ果て、新作の構想が浮かばない状況です。サイン会を強引に切り上げ、あまり行きたくないと思っている出版業界のパーティ会場に出向きます。そこで、熱狂的ファンと称する女性(エヴァ・グリーン)と出会います。彼女は三人称の代名詞で「彼女」を意味する「エル」と名乗ります。他のファンとは一線を画するようなエルとの時間にデルフィーヌは安らぎを感じます。

仕事は進まず、ストレスを抱えているデルフィーヌのもとに「母親を売った代償は大きい。家族の不幸はさぞ高く売れただろう」という誹謗する手紙が来て、それによって、さらにストレスは高まります。そんなとき、電話番号を教えた訳でもないのに、エルから電話をもらい、近所のカフェで再会すると、心が晴れるのを感じたデルフィーヌは、エルへの依存を高めていきます。アパートを追い出されたというエルと自宅で生活をともにし、エルはマネージャーのような存在になっていきます。

エルはなぜ、デルフィーヌに近づいたのか、エルはどんな人物なのか、エルの目的は、デルフィーヌは新作を書くことができるのか、それは観てのお楽しみです。サイコサスペンス仕立てになっていて、どんどん追い込まれていくデルフィーヌとエルの関係は、観る者が手に汗握るものになっています。

ポランスキー監督は主人公の二人について「俳優同士の相性は常に良好とは限らないが、彼女たちの相性は最初から抜群だった」といっています。この二人の女性を中心にした倒錯が渦巻く世界を堪能してみてください。
(中村恵里香、ライター)

6月23日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町・
YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー

監督:ロマン・ポランスキー/脚本:オリヴィエ・アサイヤス、ロマン・ポランスキー/音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:エマニュエル・セニエ、エヴァ・グリーン、ヴァンサン・ペレーズ

原作:デルフィーヌ・ド・ヴィガン「デルフィーヌの友情」(水声社)
原題:D’après une histoire vraie/英題:Based on a true story/2017年/フランス・ベルギー・ポーランド/フランス語/100分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/配給:キノフィルムズ
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