そしてサンタ・マリアがいた ―キリシタン復活物語―


明治期に入って、キリスト教信徒が長崎の大浦天主堂で発見された話は、皆さんご存じだと思いますが、この話が映画化されたり、舞台化された話を聞いたことがありませんでした。

そんなお話を長崎の司祭古巣馨氏が舞台化されたことが話題になったのは、信徒発見150年を迎えた2015年3月でした。この舞台は何度か再演されたようです。東京にいる私たちの耳にはなかなか入らない情報ですが、2016年4月に上演された舞台がDVDになりました。

キリスト教禁教から弾圧の歴史を舞台では、スライドを使って、詳しく説明しています。そして、浦上三番崩れでの迫害から帳方と聞役という宣教師のいない状況で重要な位置を占めていた二人が牢死し、水方という洗礼を授ける役目のものだけが生き延び、信仰を守る要として皆をまとめている浦上を舞台に物語は始まります。250年ただひたすら信仰を守り、生きてきた人々の知恵と工夫があってこそなのでしょうが、この舞台では、その中でも人間としての不安なども克明に描かれています。

そして、1865年大浦天主堂が建立されると、浦上では本当にパードレがいるのか、会いに行こうとする人とびとと、それに反対する人たちで村が割れます。杉本ユリを初めとする15人の信徒がプティジャン神父の元を訪れ、サンタ・マリア像との出会いのシーンで舞台は終わりますが、ナレーションとスライドを使ってその後の浦上四番崩れのことも描かれています。

舞台の最後、脚本と監督を務めた古巣馨司祭は「150年前に起きた希望と復活の話を祈りながらなぞったら、この話が生まれました。願う人、祈る人の思いが一つになった時に大切なことがはっきり見えて、次の時代に渡していくことができると教わりました。今日、先人たちの思いが少しでも届いたら本当に幸せです」と宣べています。

舞台の映像化ではなく、本物の舞台が見たいと思わせる作品です。長崎での上演ということもあり、舞台を見られない私たちにとって、この作品を見ることで、150年前に生きた人々の苦難と感動を分かち合える素晴らしい作品です。

(中村恵里香/ライター)

 

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