スペイン巡礼の道——エル・カミーノを歩く 22


古谷章・古谷雅子

9月23日(金)第9日目 曇のち晴 <行程27.5km/累計224.0km>

ナヘラ~グラニョン

ゆるいアップダウンの続く平原

朝は昨日買っておいたバナナをアルベルゲの食堂で食べてから出発。暗い中を順調に歩いてアソフラに着いた。この村のバルで休んでいると、ここまでですっかりなじみになった何人かと出会った。大体同じ行程の健脚な顔ぶれだ。町はずれに世界遺産でもあるユソとスソの修道院に迂回するルートとの分岐があるのだが、そちらの標識はあまり詳しくなさそうだったので、安全策を取って「本ルート」を行くことにした。

どんよりとした天気で陽も射さないのだが、あまり暑くならないのはありがたい。遥か彼方まで緩いアップダウンの道が延々と続く。周囲のぶどう畑は減ってきた感じがする。しかし、ところどころに大きな醸造所が見られた。今日はなぜか大勢が前後して歩いているように感じられた。こうなると用を足すのに苦労する。

グラニョンの近くで会った羊飼いと羊の群れ

丘の上にあるゴルフ場と開発に失敗した殆ど人の住んでいないゴーストタウンのような巨大なリゾートタウンを通った。サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダという教会を中心にした古い村で一休みしたのちに、今日の宿泊予定地である丘の上の村、グラニョンに着いた。スペインでは川沿いに拓けた町(村)と丘の上にできたそれの2種類があるようだ。

この村には教会に付属のアルベルゲもあるのだが、そこは宿泊者全員で食事を作って食べることになっているということなので敬遠して、近くにある Ave de Paso というアルベルゲに行ってみた。すると受付時刻の1時半になってもだれもおらず、数人が並んで待っていたのでその列に並ぶことにした。管理人が遅れて来て受付をしたが、定員10人のところの最後の2人分を確保できた。

泊まった小さな村、グラニョン

ここは本当に小さな村でレストランもないようだが、夕食と朝食を申し込んでおいてアルベルゲで食べることが出来た。これまで何度も顔を合わせてきた同年代のイギリス人女性と3人だけで、原爆のことや戦後処理の話などそれなりに話が弾んだ。

一方、他の宿泊者は皆で自炊。そしてこれを仕切っていたのがカナダ人のDという男で、人をその都度集めて誰かに先行させアルベルゲの部屋を先に確保させるなど、なにやら怪しげな人物だ。アルベルゲは基本的に着いた順ということになっているのに、同じグループだと言って着いていない者のベッドを確保してしまうのだ(手数料稼ぎ?)。私たちは近寄らないようにした。

ナヘラ 6:30 ~ アフソラ 7:50/8:20 ~ サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダ 11:40/12:00 ~ グラニョン 1:30


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