スペイン巡礼の道——エル・カミーノを歩く 13


古谷章・古谷雅子

 

昨年(2015年)に引き続きスペイン巡礼の道(El Camino)「フランス人の道」を2人で歩いてきた。昨年は広瀬、平野両氏と4人で全行程約800kmのうち最後のレオンからサンチャゴ・デ・コンポステーラまでの300km余を歩いたのだが、今年は一般的な出発点であるフランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーから国境のピレネー山脈を越えてブルゴスまでの約300km弱を歩くことにした。

昨年の暑かった7月を避けたかったこともあるが、今回は家庭の事情なども勘案して9月に行くことにした。多少の雨に降られたことはあったが、おおむね快適な天候の中で歩くことができた。

出発地点のサン・ジャン・ピエ・ド・ポーまで

9月12日の夜、成田発のカタール航空で、ドーハ乗り継ぎの後、13日の午後にマドリッド・バラハス空港に到着した。その夜は昨年と同じ Hostal Cervelo に泊まり、徒歩旅行の装備を整え不要の物は預けた。翌14日の朝7時発のバスでマドリッドを出て、途中サラゴザとパンプローナの乗り換えを経て午後4時半すぎにフランス側の国境の町、サン・ジャン・ピエ・ド・ポーに到着した。さっそく公営のアルベルゲ(巡礼宿)に行ったが、ちょうど満室になったとのことで、すぐ近くの私営のアルベルゲ、La Bendicion を紹介された。普通の民家をシーズン中だけアルベルゲとして提供しているところで、ダイニングキッチンの脇に置かれている2段ベッド二つと、普段は子ども部屋としていると思しき2人部屋があった。ここまでの長旅で疲れていたこともあり、少々高いが(1室44€)2人部屋に泊まることにした。

一息入れてから巡礼事務所に行き、全行程上のアルベルゲの一覧や、ピレネー越えの注意点の書かれた地図などを手に入れることができた。翌日の行動食や水などを買ってからレストランへ。ワイン(ビノ)を頼んだつもりなのに水が出てきてしまった。「ビノ・ティント」ではなく「ヴァン・ルージュ」なのだ。何せここはフランスだ。国境を越えてすぐだというのにスペイン語が全く通じない。それにしてもなぜ水が出てきたのか、不可解極まりなかった。

明日の天気を気にしつつ、暗くなり始めた8時ころには寝てしまった。

 


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